第19話
『主。思い出して。僕のことを…僕達のことを。僕の力ではもう貴方の力を護れない。』
「どういうこと!?貴方は誰なの?」
『僕は貴方であり貴方は僕。どうか思い出して…。』
声はそこで途切れてしまった。
「お二人ともご無事ですか?」
ナオトが焦っている。
「あれ…?」
「急に叫ばれたので驚きました。体調の方は問題ありませんか?」
「大丈夫。」
「私も…。」
「良かった。」
2人は先程の言葉の意味を考えていた。
「どうかされましたか?」
「大丈夫。」
悩んでいる2人を心配そうに見るナオト。
すると2人のちょうど間くらいにあの本が墜ちていた。
「あっ。柚茉。」
「…うん。」
羽根を出したまま触るのは始めて。
2人で恐る恐る手を伸ばした。
2人が本を手に取り、開いてみた。
やはり前と変わらず何も書いていない。
「…どういうこと?」
「記憶…?」
2人してただ首を傾げるしかない。
だがしばらくして目を合わせ頷いた。
「ナオトさん。少し離れていて下さい。」
「何をなされるおつもりですか!?」
「気になるんです。自分達の本当の記憶。」
「あの声はまるで淋しそうで泣いているみたいだったから。」
「ですが!!貴方方は地上の人間です!!我ら天界のことまで心配される必要はありません!!」
「多分、そういう訳にもいかないんですよ。」
「ここまで貴方方の求める方に似ているとなると私達もいつまでもウジウジしてられませんから。」
「そんなことはありません!!お待ち下さい!!」
ナオトがそう叫んだと同時に天から光の柱が結界に向かい降りてきた。
「ライ様!?」
ナオトはその姿が見えると立て膝になった。
「急を要したから誰も連れずすまない。他の者達の時間は止めてある。現王のライだ。ユーリと同じだ。」
2人はその言葉にすぐ立て膝になった。
「なおれ。そんなことをするために来たわけではない。ナオト。」
「はっ。」
「本をシルク達の所へ持っていった時、多分羽根を出したのだろう。ヒビが入った。僕はすぐに戻る。話をする間の時間で準備を行う。頼めるな?」
「はっ。」
ナオトは立て膝のまま軽く頭を下げた。
「同じことは起こさない。サリナ達もそう願う。頼むぞ。」
「はい…。」
ナオトの返事を聞くと、ライは戻っていった。
「…お話があります。」
ナオトの真剣なまなざしに2人は息をのんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます