第16話


「天界へ行くには私達の意志って言われたんですけど、また帰って来られますか?」


「すいません。それは分かりません。」


「…。」


「天界でも学校はあるんですか?」


「いえ。天界では親が全てを教え鍛えますので学校はありません。」


「天界と地上で兵にはなるため見極める力に差はありますか?」


「いえ。ありません。」


「あると思った。」


「一緒。」


「以前はあったそうです。ですが、サイナ様とサリナ様が変えられたと聞いています。」


「凄いね。」


「女王がいないのを内緒にって言われたんですけど何でですか?」


「地上の者は知らず、知れば混乱を招く恐れもあるからです。」


「天界の人は知ってるんですか?」


「はい。天界は大きな結界のような空間の中にあります。その結界は、その時の1番力が強い者が張ります。女王が亡くなられた時に結界が変わりましたので皆知っています。ここの校長も天界の城に仕える兵士の1人ではありますが、地上を護る者なので知りません。」


「兵士の中にもたくさんの仕事があるんですか?」


「はい。1番上が直属。1番下が城の外を警備しています。校長のような地上の施設の1番上の者は兵士の階級とすれば真ん中です。」


「何か知らないことばっかり。」


「おかしいですね。話したことのほとんどは授業でやるはずですが…。」


「柚茉は普段サボってるので。」


「そうでしたか。」


「亞夜。知ってた?」


「当たり前でしょ。1、2年の歴史で勉強する内容だもん。」


「女王の力ってどれくらいだったんですか?」


「…それは僕なんかでは計り知れません。特にサイナ様とサリナ様は神の子とも呼ばれ、どんな相手であろうと本気を出すことはなかったそうです。」


「例えば?」


「天界には我々と他の種族も居ます。死に神、悪魔、神。それぞれの世界に王が存在しお互いの国を守り、また互いの国に危害を加えることはしません。ですが、たまに刃向かう者も出て来ます。魔獣程度であれば我ら直属部隊で何とでもなりますが、各国の者が攻めてこれば我々など赤子同然。王族の方々が相手をされます。そんな時でも他の王族が死闘をする中、サイナ様とサリナ様は本気など出さなかったと聞いています。」


「それは教えて貰うんですか?」


「いえ。言い伝えのようなモノです。僕ほどの年齢の者は、その方々を知りません。ですが天界にとっては英雄という名では語りきれないほどの存在でしたから。」


「…転生って有り得るんですか?」


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