第6話


特別図書には現在の天界の城の状況などが書かれた物や、封印されている魔獣の種類、地界、天界の歴史。その他、高等魔法や封印術と言ったありとあらゆる本が置いてある。


警備はないが、本の持ち出しは出来ない。

たまに巡回がある程度だ。


柚茉は1冊の本に導かれるように手にした。


「柚茉?」


「何か気になって。」


それは何故か何も書いていない本。


表紙をめくると何故か真っ白。


「あれ?」


2人は近くにあったイスに座り、その本をペラペラめくるが、何処にも何も書いていない。


「校長に言う?」


「別に良いんじゃない?」


その時、急に本が生き物のように暴れ出し、地震のようなモノが起きた。


「何!?」


2人は揺れに耐えられず転けてしまったが、すぐに収まった。


「…何だったの?」


「分かんない。」


亞夜は墜ちた本に触れ、もう一度中身を開いてみたが、やはり何も書いていない。


本を棚に戻そうとした時だった…。


「誰かいるのか!?」


その声は全く聞き覚えのない声。


2人は本を持ったまま声の方に向かった。



そこに居たのは警備とまだ若そうな青年だった…。


警備はその青年に付いていたわばボディーガード。


「どちら様ですか?」


「先に名のれ。」


「…ついさっき6年に飛び級した如月柚茉です。」


「同じく神崎亞夜です。」


2人はそれなりの魔力を持っているはずなのに目の前の青年の威圧感に少しばかり怯えているようだった。


「学生か。先程の揺れは?お前らか?」


「…分かりません。」


「そうか。すまない。」


「あの…。」


「何だ?」


「貴方は…?」


「天界の王族警備の者だ。」


2人は少し戸惑った。

年に何度か王族警備の者が学校に来て6年の練習を見たり、力のありそうな者を見極めに来るのは知っていたが、学生にいそうな青年だとは知らなかった。

しかも正装や警備服という感じではなく、私服のような姿。


「今は鍛錬中ではないのか?」


「すいません。戻ります。」


2人は急いで本を片付け教室に戻った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る