第5話


「残念だけど、さっきので2人とも6年に飛び級。天界の城の警備行きもほぼ確定だね。」


「何とかならないですか?」


2人は焦って校長に詰め寄った。


「ほかの学生は懇願こんがんするほど行きたがる場所だよ。英雄そのもの。そんなに嫌かな?」


「…はい。」


「私達、確かに力はありますけど平穏へいおんに暮らしたいだけなんです。」


「まぁ、魔術が使えそうな者は、ほぼ強制的にこの学校に連れてこられる。入りたい子達の方が多くはあるが、魔術が使えなければ何かと不便ふべん。君たちのような子達は初めてだけど珍しくないかもしれないね。だけど僕にはなんとも出来ない。天界の城もそうするしかないみたいだからね。」


2人は落胆した。

確かに柚茉は記憶が欲しいだけ。亞夜は真面目なだけ。今まで一度も城に上がりたいなどは口にしなかったし、はぐらかしてきた。


「1つ質問をさせて貰っても良いかな?」


「…はい。」


「まず2人ともが本当の魔力で計測した試しはないよね?」


2人はお互いにアイコンタクトを交わし、大きなため息をついた。


「すいません。」


「どのくらいかは知ってるの?」


「本気出したことないので…。」


「そうか…。」


「何故ですか?」


「僕の封印術や魔術が効かない場合、大抵は相手の方が魔力が上、その時点で城行きだからだよ。」


「そんなに行かせたいですか?」


「逆だよ。逆。君たちがそんなに嫌がるから考えてるの。」


2人は目を輝かせた。


「とりあえず6年の先生には脳内通信テレパスしておくから。」


「…はい。」


2人は校長室を出てグチグチ言いながら6年の教室へ向かった。


6年では基本、授業と言った机に座ってお勉強はなく、魔術や剣術、武術を鍛えている。


「サボる?」


「何でよ。」


「高等魔法と超上級はバレたから。」


「常にやると疲れるから?」


「当たり。」


「特別図書行く?」


「良いかも。」


珍しく亞夜もやる気にならないようで2人で6年のみが使用可能な特別図書館へ行った。

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