第2話


魔法には初級から超上級ちょうじょうきゅうまでの4つが存在し、誰もが超上級ちょうじょうきゅうを夢見て日々練習にはげんだ。

初級は鉛筆ほどの杖を使い、中級は自分達の背丈ほどの杖を使い、その大きさが力を表した。上級は声だけで行い、超上級ちょうじょうきゅうとなるとどんな高度魔法こうどまほうでも念じると出来ると言うもの。


亞夜は上級、柚茉は隠してはいるが超上級ちょうじょうきゅうも使える。


「皆さん。おはよう。」


「おはようございます。」


「今日は対抗戦とは異なり、上級学年の方と手合わせして頂きます。普段の対戦と同じく杖をはじき飛ばすか、相手に降参と言わせた時点で終了です。」


先生が説明して出て来たのは亞夜のクラス。

亞夜が見えると歓声が凄かった。


「わざとだ。」


ボソッと呟く柚茉。


「ではまず、会長にお手本を見せて頂きましょう。」


「先生。私、如月さんと一度手合わせしてみたいんですが、ダメですか?」


「え…?でもね。会長。如月さんは初級魔法しか使えないのよ?さすがに上級魔法を使える貴方には敵わないわよ。」


柚茉はいつだって本気でやったことなど一度もない。

初級しか使えないのも演じているだけ。


「大丈夫ですよ。日頃、抜け出す回数が多すぎます。もう少し分かって頂かないと。」


「まぁ貴方が言うなら…如月さん。いける?」


「…はい。」


柚茉は少し亞夜を睨んでから出て来た。


対戦は校長と何人もの先生が張った結界の中で行われる。


絶対無理だよね

だっさー。


柚茉のクラスの子達から柚茉に対する罵声ばせいが止まない。


“裏切り者”


“何のこと?”


結界の中で脳内通信テレパスで会話する2人。

あまり仲が良いのを知られたくない柚茉。


「会長。私、初級しか使えないので、せめて杖を持って頂けますか?」


「そんな風には見えないけど?」


“平穏に暮らしたいの。”


“お断り。”


「最近、超上級ちょうじょうきゅう練習中なのよ。使っちゃったらごめんね。」


超上級魔法ちょうじょうきゅうまほうに対抗するには超上級ちょうじょうきゅうでないと危ない。


“殺す気?”


“まさか。本気が見たいだけ。私一度しか見てない。”


「良いですか?」


先生のかけ声に2人が構えた。


「始め!!」


濃霧ディクトミスト。」


「逃げるなってば!!雷雨オンウィーア。」


「年下相手に加減して下さいよ。会長様。暴風ミストラル。」


「知ってた?如月さん。」


「何をですか?」


話ながら飛び回り、攻撃したり防御したりを繰り返す2人。

他の生徒達は唖然としている。


「喋りながら出来るって事は、それだけ高等魔法こうとうまほうも使えるって。」


「あっ。」


柚茉は言われて思い出したかのように一瞬固まり、杖を落としてしまった。


「ばーか。」


「ちょっ。」


柚茉は反射的に手のひらを前にかざし防御壁ぼうぎょへきを張った。

それはもちろん超上級魔法ちょうじょうきゅうまほうしか出来ないこと。

柚茉がバレないようにと張っていた霧も晴れて先生はもちろん他の生徒達まで見せる形となった。


「そこまで!!」


一瞬の出来事に先生も少し固まっていたが、どうにか試合終了した。


「薄情者。」


「会長の方が色々楽よ。」


結界の中から2人が出て来ると、柚茉も亞夜も同級生に囲まれた。


超上級魔法だけは使える本人と対戦し、会得するのが1番だからだ。


「如月さん。神崎さん。来なさい。」


「はい。行きましょうか。如月さん。」


「…はい。」


授業は中断となり、2人は先生に連れられ、校長室に向かった。


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