第3話 新生児室の私
朝になって、りくと郁美はコンビニに入って新聞で日付を確認した。
1998年12月27日 日曜日
「私、1998年12月24日生まれなの りくは?」
「1999年2月10日生まれだけど、実際はわからない」
「どうして?」
「俺は捨てられてたみたいで・・・」
「ごめんなさい、」
「いいよ気にしてないから」
郁美はふと思い出したかのように
「私、新宿の産婦人科で生まれたんだ」
「どこ?」
「えっと、新宿西口産婦人科」
「そこ知ってるよ、西口駅の警察署の斜め裏のところ」
りくは郁美の赤ちゃんに会いに行こうと誘った
「自分に会いに行くの?なんか不思議」
「何か答えになるものがあるかもしれないから」
産婦人科についた二人は新生児室に入った
「私、あそこにいる 変な感じ」
「隣にもう一人」
篠田郁美その隣には篠田りくと書いてあった
「私、双子だったの?」
「ホントだ、俺と同じ名前だし」
郁美自分の赤ちゃんを眺めていると急に涙が止まらなくなった
「なんで生まれてきたの?私は二十歳で自殺するのに
なんで生まれてきたの・・・」
「私は生きるのが辛くて死を選んだの、生きるのは大変なの
だからそんな幸せそうな顔しないで、」
「私が私を殺せば罪にはならないなら」
「今すぐにでも殺してやりたい!」
半狂乱の郁美に、りくは何も言えず下を向いていた
その時だった、停電したかのように真っ暗になり
そしてあの時と同じ閃光が走った
数分後、元に戻った院内だったが篠田りくの赤ちゃんがいない
いないというより、いた形跡もない
「何なんだ?いくみは大丈夫か?」
「大丈夫だけど、どうなってるの?」
看護士さんを探して聞いてみると
「篠田りくって赤ちゃんいましたよね」
「篠田郁美ちゃんの隣に・・・」
「そんな名前の赤ちゃんはいませんよ」
看護士は篠田郁美ちゃんは双子じゃないことも伝えた
その時だった
廊下奥から 医院長らしき白衣の来た人が歩いてきた
「いくみ、あの時の守衛に似てないか?」
「うん、似てる気がする」
そして、二人を見て薄笑いを浮かべ近づいてきた
ブラックチップ ササキ リノ @orangerobo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ブラックチップの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます