第2話  新宿

りくと郁美は落ちていく中で会話していた


「俺たち飛んでるよ、本当に時間てゆっくり流れるんだ」

「本当ね、ゆっくり落ちていく」


「そういえば飛ぶ時に、守衛 俺たちのこと押さなかった?」

「うん、手で押された感じしたよね」

「まぁいいか、地面まですぐだし」

「うん、2018年とお別れね」


郁美はビルの窓の明かりを見ながら

りくの手を握った


その瞬間


突然、閃光が二人を駆け抜けた


淡い煙を残し消えた


「うわぁぁぁぁぁぁぁ、なんだ!?」

りくが叫ぶ


郁美は動かない



そして記憶が飛んだ



二人は路地裏に座り込んでいた


「何がどうなってるんだ?」

りくが目を覚まし郁美を起こす


「いくみ、俺たち死んだかな?ちょっと叩いてみて」

「バコッ!」

「グーで殴ることないだろう・・・痛いな」

「私たち、生きてるね 何故?」

「わかんないけど、落ちているとき光に包まれた」

郁美は理解できなかった


・・・沈黙の時間が過ぎる


「郁美はいくつ?」

「二十歳」

「一緒だ」

「O型」

「聞いてないけど、一緒だ」

「帰りたい・・・」

「帰ろうか」



とりあえず二人は路地裏を出て帰ることにした


路地裏を出た時だった

その景色に二人は目を疑った


「俺たちの知っている新宿じゃない」

「うん、」

「俺たちは死んでないし生きている」

「何がどうなったの?」

郁美は不安そうな顔をしいる


「あ、ほくろ!」

「私、大きいから嫌いなの」

「これも、まったく一緒だ」

「本当ね、形まで同じ」

りくは郁美のために話を変えた


「ここは、天国でも地獄でもない 間違いなく新宿だよ」

りくは握ったこぶしを緩め歩き出した

郁美も後ろをついていく


1998年12月27日 日曜日 新宿


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