約束の
曾て居た地を追われた先祖を持つ人々がいた。彼らは常にマイノリティに有りがちな迫害を受けながらも強く生きていた。少し前に彼らは饒舌な外交官によって、先祖が追われた地を得るかわりにその時起こっていた戦に協力する約束をした。
そして戦は終わり、彼らは協力の対価を得にその地に向かった。しかしそこで待っていたのは現地人の「そんなの聞いてない」の声だった。まんまと外交官にしてやられたのである。そしてそこでまた争いの火種が生まれてしまった。
困ったのは外交官もである。後先を考えずに約束をしてしまった彼は、知人の発明家に泣きついた。「ならばいっそ、誰も住んでいなかった時代に彼らを送ればいいのではないか」という案を発明家が出した。時代の最先端を行く時空旅行である。
祖先と同じ時代のその聖なる地に行けると聞いて、彼らは嬉し涙を流して喜んだ。事は平和に解決したようにみえた。
幾十年後にとある研究者がとある古文書を解読した。
『我々はいきなり、見たこともない物体から降りてきた、見たこともない格好をした人々に聖なる地を奪われた。』
今有る平和の為に彼はそっと古文書をシュレッダーにかけた。
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