トレジャーハンターの独り語り

 正答のない問題を解くのは嫌いだ。「運命を感じたものを1つ、見つけてきなさい。」この宿題を出されてからどのくらい経ったのだろう。締切はないが、周囲の圧はなかなかに酷い。「あなた今年で20でしょ?」とか言ってくる。別に出さなくてもいい宿題なんだから自由にさせて欲しい。


 そういや昔会った子はダイヤモンドに決めたそう。その子の友人はコンピューターにしたんだっけ。あーもうめんどくさい。一緒にいたら自分まで輝ける訳でもないのに。自分まで賢くなる訳でもないのに。や、嘘だな、多少は輝ける。けど同程度には輝けない。所詮自分は自分なのだから。


 自分としてはダイヤの原石の方が削られたダイヤモンドより好きだ。パソコンもそう。既製品に運命を感じるよりかは、自作のものがいい。ブランドに釣られるような人じゃないと、自分を差別化したいだけなのかもしれないが。


 さて、数年前からポケットにあったこの石は何なのだろう。とりあえずたまに磨いたりはしているから段々綺麗にはなっている。うん、これでいっか。他を探すのも面倒だ。


 それがアレキサンドライトだと知ったのはもう少し後になってからだった。人生はそういうものなのかもしれない。

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