群青
この小説の起源と言っていいのだろうか、
11月に好きになった少年は12月に恋人ができた。
「席が前後になりそう。」私の席替えに関する勘は素晴らしく当たる。今回はなぜかそう思った。
容姿端麗・博学多才の言葉は少年にぴたりと当てはまる。少しマニアックな芸能人が好きな私だが、理想と現実は違うのだ。誰にも言えない。現実の私は面食いだ。
席が前後だった僅か20日ほどの日々は私に幸せというものを教えてくれた。自意識過剰ながら私の背中や人より少し色素の薄い髪が少年の瞳に映ることにささやかな喜びを感じる。
生まれてから今までこれほど明日が待ち遠しいと思う事はなかった。
仲良くなりたい一心で毎日ぐだぐだ教室に残る。
一重な女性が好みだと言う変わった少年。
次の日から二重を作ることをやめた。
朝風呂にも毎日入る。
この期間が私を女性として最も成長させてくれただろう。しかし厄年の私に神さえも味方をしてくれない。いや、日頃の行いが悪かったのだろうか。
様々な思い当たる節を探すが特にはない。
神様は意地悪だ。性悪だ。
2017年も残り3、4日と言ったところだろうか。
少年に恋人が出来る。
ここに残された私の思いは、届かぬまま、伝えられないまま、静かに散っていく。
少年と前後の席になってからその後2回の席替えをした。高校生活最後の席は念願の1番後ろだ。
今は斜め後ろから背中を見つめる。しかし少年の目線は決してこちらには向けられない。
群青色の空が水溜りに浮かぶ。
世界に私の心を写されたように、見透かされたように少し恥ずかしくなる。怒りさえ覚える。
明日は何を生きがいにして行こうか。
華の17歳もあと少しなのに
私の心は空虚になる。
17歳 少女Y @syoujo_y
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