夢想伝説

フーテンコロリ

ショム

-争い、それは心の動き。全てが始まり全てが終わる源。少年は風が吹く度に地を殺し、海を飲む。だが人はそれを許さぬ、断じて許さぬ。人歩けば道ができ、人動けば世界が変わる。いずれ誰もが知るだろう、世界は皆無だと-


「誰ですか、あなたは」


少年は問う、闇雲に。


「わたしは思考です。寸分違わぬ思考です。全てを知る思考です」


闇雲からの返事は異常であるはずだ。


「あなたは人を知りますか」


「私は思考です。あなたは人です。そして私は人の思考です」


闇雲は少年の質疑に笑う、少年が何も知らぬモルモットかのように嘲笑する。


「僕は人を知らない、だがあなたは人を知る。それは罪ではあるまいか」


闇雲は嗤う。


消さねばならぬと少年は火を吹き、闇雲を消し去る。


「あなたは誰ですか」


少年は問う、あなたに。


「私は人形です。私は人形です。私は人形です」


あなたの口から真実が溢れることはない。


「人形ならば、心が無いのですね」


少年は不思議がる、丁寧に。


「いいえ、あるのです。あるのです」


少年はあなたの冷徹な言葉に憤る。あなたは笑顔になる。


「なら死をご存知か、人は死ぬ」


少年は憤る。あなたは困る。


「いいえ、知りません。死んだことは、ありませんので」


あなたを見る少年の目は、暗い。


「では、あなたは人ではありません。ならば、何者でしょうか」


少年は叫び出そうとする。あなたは飛び立つ。


「私は-」


私です。


少年は炎に焼かれ灰となる。


全てが灰となり-


皆無となる。


夢が終わると夢ではなくなる。


「夢とは何かな」


熊が虎に問う。


「夢とは食らうもの、後は残らん」


熊は泣きだす。


「ならば、夢とは腹を満たすものなのか。なんと無駄な」


虎は嬉しそうに舌なめずりをする。


「貴様の夢も食らわれたか」


熊の涙は渦潮となり、虎はその海を駆ける。


「我が涙にも、名前は無い。嗚呼、どうすれば道は開けようか」


夢に道は無い。出口も入口も無い。


「涙に意味などないから、やめなさい」


虎の言葉が無限に消えていった。


月は地球と繋がった。


「あなたの海が愛おしかったのです。それはそれは太古の昔より、嗚呼なんと幸せでしょう」


宇宙という独房に閉じ込められた地球は悲しさに溢れている。


「地球は1つのみ。月よ、あなたがいても何も変わらないのだ」


地球は月と衝突し、静かに死んでいく。


現実と夢は見える。現実と夢は聞こえる。現実と夢は香る。現実と夢は触れられる。線と点と円と角と光と陰。


歪んだ目線と映る耳線、それが交わると現実になる。今日回線と境界線、意味は違えど術は同じ、うなじに通る光は同じ。酢豚に火が通る、迂回する先は地獄か喜劇か。いと惜しいか愛おしいか、夢は現実。現実は夢、愛おしいかいと惜しいか。大枚叩いて旅した先のお釣りは無いとか言うのでは、電気回線も多重労働にて誤記。そう謝らんでよろしい。


夢か、現実か。


あなたに似合っているのは。


現実か、夢か。


「少年は言った、地獄や天国は無い。あるのは僕の世界だと」


私は言った、高々と。


「そーいや、そうだろう。想像にして早々にそうだろう。いやはや、そうだろうや」


蛙がいた。


神無月の原っぱには蛙が1人おいでなすって、やあころりと嗤うのだ。


それを眺めて長い世の先を見下ろして、高い月の白い陰に夢打って救われたのさ。


お塩はいかがかな。


「いらんのだ、塩など」


それとなく貧乏にも富豪はあるもんで、いささか電波に音波は似合わないんだそうだ。


悲しいかな、それARASOIなのだよね。


「やーいやーいシゴロツキ、お前も天下に騙されたーい」


男はあなたを馬鹿にする。そこは平原海原の彼方彼方の映画の中。


「わしがシゴロツキでは到底天下はわしを騙せない、それではあなたが矛盾の境地」


男にそう返したあなたの顔に、なんだか塩がかけられた。


「しょっぱい人間、そりゃ夢でもそうさね」


男はあなたを嫌っている。


「それじゃあ、あなたを愛すまで」


それからあなたの瞳からナイフが飛び出て射抜きたる。射抜かれた男、死を知らず。


「そこまでするなら、笑って帰れ」


男、笑いを絶やさず死ににけり。それは嘘だね、多分嘘だ真っ赤な嘘だ。


「わたしは諍い、諍いは争いの子。わたし

には悲しむ術は無い、それだとも明日は来ず」


夢に見て良いことと悪いこと、悪いことは仇討ち。


「正解などない」


卵は食卓で語る。


「どんなに愛想良く、人智を超えても確かに残る酷な心情。そこにAの字、Bの字など存在せぬ。あるのは美貌とか疚しいもの、それすら呆れて物言わぬ者。それとかあれとか無いも同然、何もない日こそ祝うべき、祝うべきなら祝うべき。祝うのだから祝うべき。話が逸れたね、あなたは駄目だ」


滑稽な顔立ちの卵が嗤う城にクリームを塗る、そこにはチーズとかクリームは無い。あるのは杉とか森とか木とか瓜とか山とか、そういうもん。たかが駄文だと舐めていると、いつか痛い目を見る。ただ、それだけなのだが。



夢は叶わない、現実は存在しない。そんな世界は欲しくない。しかし、私は死にたくはない。


ないないないないない。何が無いのか、それはあるという事実と確証が無いのだ。


あなたがいない。


それが答え。


あなたはいる。


それは答え。


噛ませぬ構いませぬとか言うのは世間の地理ダ。だから愛とかは存在せぬのだ。


針は言う。


「そこに答えがあるじゃないですか」


玉は言う。


「そこに嘘があるじゃありませんか」


私は言った。


「何もない」


洞窟から豚がでてきてこんにちわ。


「あれれ、ぼくの出る幕じゃない?」


それはそうだ、だって豚だもの。命の踏み台にされる命に価値はあるが、勝ちは無い。


ビルから飛び降りるとタクシーが見えた。


そこから橋を渡ると井戸端会議のバッタ達が行列のできる天国への駅の話をしている。


そんな気がするだけなのだが。


恋は儚い、そんな嘘は聞き飽きた。わたしは恋などしたことはない。それが蟻さんの意見だ、尊重して欲しい。


本は語らない、代わりに置かれている。


そこに時間があれば、腐敗臭と空気があるはずだ。


螽と鰤は同じ都から遠く離れた場所に違う時間帯でいる。出会うことはない。それが自由なのだから。





方向が泣くのは、1つしか刺せないことだ。



曖昧なくらいが丁度、夢らしくていいじゃないか。プロデューサーも張り切って、社会の窓を開け放している。それでいい、それでいい。かなり後ずさった結果も、それでいい。


ごめん、最初からやり直させてくれ。


それが唯一の叶わぬ夢だ。


そしてそれに悩むことがなくなることが最大の夢だ。


ゆめゆめゆめゆめゆめ、何度喚いても。その夢は夢でしかない。それが夢である限り。


食べられたよ、これが夢だろ。


「悪魔をベースに作られたハイブリッド天使は如何程にも使えぬ、そして嵐は荒れた天気にあればそこに悔いる形で追い風が吹く」


あなたは言った。


「おはようございます。日も下り、雨は泣き雷は怒り大地は揺れて海は広がり続けて宇宙は縮んでいく。なんて素敵な今日なのでしょう」


多重に多岐になりて神は言った。


「さあいいかげんに目覚めなさい」












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