第12話

「昼食出来ました!」

アキを気にかけながら楽しく談笑していると雲雀ちゃんが言った。

「私はアキが心配だからここで食べる事にするよ」

私がそんなことを言うと意外な人物が名乗りを上げた。

「私も、そこで食べさせていただきたいです」

「雲雀ちゃんが?どうして」

少しだけ高圧的になってしまったが、聞いてみた。

「どっ、同級生として心配なんですよ!」

「どっちでもいいんで早く食べましょうよ」

「「アキは黙ってて!」」

「その話、僕の話だと思うんですけど…」

「だったら二人で面倒見ればいいんじゃない?」

さきほどまで黙っていたミキが提案した。

「僕の意見は……」

そう言われ、まだ体調の優れないアキに昼食を食べさせることにした。

「アキ、あーん」

「別にそこまで体調悪くないんですけど…」

「あーん」

「この人ほんとに風邪治ったのかな」

そう言いながらもアキは食べてくれた。

「さすが本妻、見せつけるねぇ」

「アキが本当に羨ましいな」

「外野黙ってて!」

「アキ、私のもあーん」

アキに食べさせていると雲雀ちゃんまで食べさせようとしてきた。

「アキ、あーん」

私も間髪入れずにアキに食べさせようとした。

「ミキさん、これが噂の…」

「そうよあきらくん、これが修羅場よ」

「これは先にどっちのスプーンで食べるかでどっちに刺されるかが決まるな」

「刺されるの確定!?」

そんなことお構い無しに私たちはスプーンをアキに押し付け続けた。

「「あーん」」

「分かりましたって」

するとアキは同時に2つのスプーンで食べるという荒業でこの場を乗り切った。

「すみません、これ以上は食べれませんから」

「仕方ない。食べちゃいましょうか」

作ったのを綺麗に食べ終わり雲雀ちゃんとあきらくんが片付けをしてくれた。

「ごめんね、片付けまで」

「下手にお皿とか割られてもなので」

「「そこまで酷くないよ!?」」

というわけで片付けは変わってもらった。

「アキ明日は来れそうか?」

「ただの風邪だから行けると思うよ」

「無理しなくていいからね」

「1番来ないと寂しそうにするのに?」

「雲雀が?嬉しいなぁ」

「アキにこんなにいい友達がいてよかったよ」

家のこともあり、あまり友達はいないと思っていた。

「逆に俺としては、アキに彼女がいなくて残念でしたけどね」

「私なんかよりもアキにはもっといい人いると思うから」

こんなにも完璧な男子高校生だ。モテない理由がないだろう。

「実際学校でも、アキモテるでしょ」

そういえば、家以外でのアキの事を私はほとんど知らなかった。

(色々あって忘れてたけど、アキの家の

ことも、うやむやになってるな)

「告白もちょくちょくされてますし、密かに思ってる女子もいると思うんで気をつけてくださいね?」

「気を付けてって、別に私とアキはそんな関係じゃないから」

というか、刺されるってどういうことなのよ・・・

「そっ、そうですよね!アキと白石さんとじゃアキが白石さんに見合わないですからね」

どうして雲雀ちゃんは、そんなに必死なのだろう・・・


私はそう言った白石さんの言葉に安心しながらも不安を覚えた。

そんなモヤモヤした気持ちでいると、近くにいたアキのお姉さんミキさんが耳打ちしてきた。

「やっぱり雲雀ちゃんはアキのことが好きなんだね。見てるとわかっちゃうね」

「・・・だとしたら何ですか」

「まだ二人の関係疑っているみたいだけど、充分雲雀ちゃんにもチャンスがあると思うよ」

「・・・余計なお世話です」

ミキさんには、そう言ったが内心では疑いが拭えなかった。

(だったら白石さんは、アキに食べさせようとした時に、顔をあんなに赤くしたんですか・・・


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る