第2話「憧れ」
とある町の少年リーマは父、ユデアと商店街を歩いていた。
リーマは緊張していた。
父のユデアが買い物に出掛けないかとリーマを誘ったからだ。ユデアは仕事がない日はほとんど家から出掛けない父親だった。その父、ユデアが珍しく買い物にリーマを誘ったからだ。
リーマは緊張しながらも父、ユデアに話をかけた。
リーマ「…父さん。」
ユデア「うん?」
リーマ「…どうして急に出掛けようなんて言い出したの?」
ユデア「…。」
ユデアは口を開かず、それどころかリーマはドキドキと鼓動が早くなり、更に緊張が増していた。
しばらく商店街を歩いていると父、ユデアが足を止めた。
ユデアとリーマの目の前にはパン屋さんが建っていた。
ここまで無言だった父、ユデアが口を開きリーマに声をかけた。
ユデア「…リーマ。パン…食べるか?」
リーマ「…はい!」
自然とリーマ表情が明るくなり、リーマが笑顔になる。その表情を見たユデアも、優しく笑みを浮かべながらユデアとリーマはお店でパンを選び、二人は近くにあった公園でお店で選んで買ったパンを食べた。
とても温かい、焼きたての甘いパンだった。
ユデア「…美味いか?」
リーマ「うん!美味しい!」ユデア「そうか…!」
ユデア「…リーマ。」
リーマ「なに?父さん…。」
ユデア「…母さんたちにも…買っていこうか!」
リーマ「うん!」
ユデア「あ、でも俺らが食べたことは内緒だからな。」リーマ「どうして?」
ユデア「…ルイスになんか言われるかもしれないだろ?」
リーマ「大丈夫だよ。そういう所はまだ鈍いから。」ユデア「…そうか。」リーマ「でも父さん…。母さんにはバレバレかもしれないね?」
《フッ…》と笑うユデア
「ああ。そうだな。」
父の意外な優しさに憧れるリーマであった。
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