ダウン=アップ~奪われた平和と日常~

第1話「少年リーマ」

誰もが抱えている見えないもの。それは自分自身。この物語は少年リーマの巡り会いと運命の物語である。


リーマは町の小さな部落の家に住む10歳の少年。父、母、そして5歳下に弟がいる。


今日は弟のルイスと家で留守番をしていた。


父のユデアは、遅くまで仕事をしていて、母のリミアが大事な用事があるため母が帰って来るまで留守番を頼まれていた。


いつも学校で勉強をしているリーマ。母が主に弟のルイスの世話をするのだが、今日のリーマは珍しく寂しい思いをしていた。

弟のルイスがいるのにだ。…いやだからかもしれない。


リーマがそう思いながら。ボーッとしていると、ルイスがリーマに遊ぼうと言って近寄ってきた。


ルイス「お兄ちゃん、遊ぼう!」

リーマ「あぁ、何して遊ぼうか?」

ルイス「ブーブ!」リーマ「クルマか!よーし!お兄ちゃん速いぞ!負けないからな~!勝負だ!ルイス!」


ルイス「僕の勝ち!」

リーマ「はは…速いな。ルイス…。」

ルイス「…?」

突然ルイスが黙り混む。

リーマ「どうした?ルイス…。」

ルイス「お兄ちゃん…。楽しくないんでしょ。」

リーマ「な、何を言ってるんだよ!ルイス!」

ルイス「だってお兄ちゃん、寂しい顔してるもん。」

ドキッと驚くリーマ。

リーマ「そ、そんなことないよ!」

ルイス「もういい!遊ばない!」

リーマ「え!?ちょっと…!?ルイス!?」


ルイスは突然膨れだした。

リーマは母が帰って来るまで、ルイスに声をかけなかった。ルイスの言う通り、寂しかったからだ。


母のリミアが家に帰ってきた。

リミア「ただいま。」ルイス「お帰りなさい!」

リミア「ルイス!いい子にしてた?お兄ちゃんから遊んでもらった?」

ルイス「遊んだけど遊ばなかった!」

リミア「…?あら、どうして?」

ルイス「だって、リーマお兄ちゃん寂しそうにしてるんだもん!」

リミアがリーマの顔をじっと見る。

《ゴクッ…。》息を飲むリーマ。


すると母 リミアはニコッと微笑んだ。「お腹すいたでしょう。今、ご飯を作りますね。今日は母さんのカリーライスよ!」


リーマ「母さん…。」


今日はいつも以上に寂しくとても和やかな日だ。

リーマはそう思いながら母の料理を手伝った。

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