Ⅵ.燃える虹 ビフレスト

 〈役割〉

 アースガルドの外れの方にある山の頂上には、「揺らぐもの」という意味を持つビフレスト橋がかかっています。これは神々が特別な技術をもって作ったので、頑丈で精巧、「世界で最高の橋」というお墨付きでもあります。我々が言うところの虹に当たりますが、色は赤、青、緑の三色で、そのうちの赤は「常に燃えている炎」の色です。その炎がある為に、巨人たちは渡ることが出来ません。一方当然ながら、神々は平然とその上を渡っていきます。


 〈繋ぐもの〉

 ビフレストの橋がアースガルドに達する場所に、番人であるヘイムダルの居城、ヒミンビョルグが立っています。彼はその役目上、ここでいつも世界を見ていなければならないのですが、ある時人類の「身分」を作るためにミッドガルドへ出向いたといいます。その間、ビフレストからヨツンヘイムを誰が監視していたのかは記述されていません。

 ビフレストはウルズの泉ウルザルブルンまで伸びています。ここには浄化の水があったり、運命の女神ノルンたちが住んでいたりするだけでなく、神々の法廷(毎朝会議をする)がありますから、ビフレストの使用頻度は高いと言えますね。


 〈全体像〉

 つまりまとめると、この虹の橋はアースガルドからミッドガルドを超えて、ウルザルブルンのほとりまでかかっているということになります。……ということは、アースガルドの外を出ていないのですね。ラグナロクが勃発すると、「ムスペルの息子」という魔軍が押し寄せて来ますが、彼らはこのビフレストを通って侵入してくるといいます。では、いったいどうやってウルザルブルンに侵入したのかという話になりますが――、これは「ムスペルの息子」たちが空を飛ぶ馬に跨ってきたとしか考えようがありません。資料には、天の裂け目から彼らがやってくると記述されていますから。

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