第三章:ラグナロク

Ⅰ.前兆

 バルドルの死、ロキの束縛を経て、いよいよ「その時」が迫ってこようとしています。世界は「斧の時代」「剣の時代」に入り、とうとう滅亡へと向かうのです。続いて「風の時代」「狼の時代」がやってきます。すると、三回の冬が訪れるなか、大戦争が勃発し、父子・兄弟が殺しあい、母親が息子を誘惑し、姉妹がその兄弟と同衾します。

 こうした「すべての混沌」の次は、フィンブルヴェトルという冬の親玉のように惨烈な厳冬が訪れ、ミッドガルドの大地そのものすら苦しめます。世界の雲が四方八方から集まり、たとえ太陽の光熱を持ったとしても、この寒さは軽減できません。この恐ろしい冬も、三回訪れます

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