Ⅲ.九つの世界
〈全貌〉
北欧神話では、世界(宇宙)は九つの階層に分かれています。天空には神々のおわす国アースガルド、光の妖精たちの地アールヴヘイム、もう一つの神族(ヴァナ神族)の国ヴァナヘイム、地上には人間たちの大地ミッドガルド、巨人たちの住まう世界の果てヨツンヘイム、小人たちの住むニダヴェリール。その下方には黒の妖精たちの国スヴァルトアールヴヘイムが位置します。そして地下には冥府ニヴルヘル、及び闇と霧の国ニヴルヘイムがあるといわれています。世界創造の際に出てきた灼熱の国ムスペルヘイムは、この世界観の枠に収まらないらしく、「国のはずれ」つまり世界の果てにあると考えられます。
天と地を貫く巨木であるユグドラシル(宇宙樹/世界樹)は、先述したすべての世界をつなぐトネリコの木と言われています。
〈アースガルド:神の国〉
世界の最も頂点に位置し、男神や女神たちの館がある世界です。それらはすべて石の巨人が作った強固な城壁に覆われています。ラグナロクの行われる場所であるヴィグリードもここにあります。
ちなみにスノリ・ストルルソンによれば、天界にはさらに九つの分類(階層)があるらしく、上からそれぞれ
1.ヒミン:天
2.アンドラング:さらに遠いところ
3.ヴィーズブライン:広く青いところ
4.ヴィーズフェズミル:広く取り巻く者
5.フリョーズ:覆う者
6.フリールミル:暖かさ
7.ギミル:炎
8.ヴェットミーミル:冬の水を作り出すもの
9.スカーティルミル:より濡らすもの
となります。
〈アールヴヘイム:妖精の国〉
光の妖精(アールヴ/エルフ)が住むという明るい世界。フレイの最初の歯が生えた祝に贈られたと言われています。
〈ヴァナヘイム:ヴァナ神族の国〉
豊穣神族であるヴァナ神族の住む世界です。基本的に神話には出てきません。
〈ミッドガルド:中つ国〉
人間たちの住む世界です。宇宙の中央に位置し、周りを大洋に囲まれています。その輪の海に住むのがヨルムンガンドです。別名世界蛇といわれるこの怪物は、体が大きすぎて世界を一周してもなお自分の尾に触れられると言います。まるでウロボロスです。
〈ヨツンヘイム:巨人の国〉
巨人が住む世界で、神々の住むアースガルドの周辺にあるという説と、ミッドガルドと海を隔てた彼方にあるという説があります。神話の中ではどちらも登場しますので、二つの場所にあると考えたほうがいいでしょう。
〈ニダヴェリール:黒の野〉
スヴァルトアールヴ(ドヴェルグ=ドワーフ)とほぼ同じ種族が住む世界です。神話にはほとんどできません。
〈スヴァルトアールヴヘイム:黒妖精の国〉
黒の妖精スヴァルトアールヴたちが住む世界。地中にあるので、太陽の光が当たりません。なお、地中ではあっても、地下ではないようで、ニダヴェリールに出ていくこともできたといいますし、おそらく世界の第三層よりも浅いところにあると考えられます。
〈ヘル:隠された場所〉
病気や悪事を働いて死んだ者の集まる地獄。冥府であり、同名の女怪が支配しています。
〈ニヴルヘイム:霜の国〉
極寒の世界。ミッドガルドから馬で下方向へ進むこと九日の距離にあります。ヘルと同一視されることがありますが、別な世界とみなされた場合、悪人たちの冥府の旅の最終地点となります。
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