ルネージュ教会と聖ギュスターヴの歴史:前編

ルネージュ教会はよく「聖ギュスターヴがつくったんでしょ」という誤解を受けているが、もともとそこに教会は存在していた。

教会の創設者はズカウバという名前の来訪者ビジターで、もともとはキリシニャンとは関わりがないが、後に述べることになる事情でこの地にキリシニャンの信仰と文化を伝えたのである。

そもそもルネージュという名前自体が、伝説によると『ルルイエ』という異教の言葉(地名らしい)がなまってつけられたといわれるほど、ズカウバがキリシニャンの教会を作った当時はきわめて異教的な雰囲気で、人々や猫達が「くとぅるぅふたぐん」というおまじないのようなものを唱えていた。

ズカウバは自身もそういう異教に関わるものでありながら、むしろその異教的なものをキリシニャンへ信仰しんじるものをスライドさせることによって、ルネージュを守ったようなのである。

また、ズカウバはこのルネージュに来訪者が意識するにしろ無意識にしろ行き来出来る『ゲート』の1つを発見したことによって、ルネージュをこの地域屈指の都市になるを築いたのであった。


ルネージュ教会は、その成り立ちから他のキリシニャン教会の中でも特徴的な部分がいくつかあり、たとえばズカウバがこの地に来るキッカケである『ナコト写本』を始めとした書物が多数保存されている。

おそらく、異教のなにかしらの遺産レガシーであろうそれらは、この教会を共和国におけるキリシニャンの中心であると同時に、史実以前の来訪者と猫の交流を垣間見ることができる建物にしている。

それゆえに、観光客や学園都市をはじめとした研究者の行き来も絶えない。


余談ではあるが近年、研究者によってそれぞれの世界が交流出来るようになる以前から、門の動きで来訪者が『』という形でこちらの世界に来るだけではなく逆の現象、つまりこちらからあちらに猫が行ってしまうということが発生していたのが判明している。

一例として、ルネージュの門からエゾチ、後のホッカイドウとなる所へ行ったという猫がいたことが確認されたという。

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