第9話 驚きの評価

 俺はその地球と書かれた隣に並ぶ、順位を見て固まってしまった。

 そこにはしっかりと他の異世界と変わらないフォントでこう書かれていたのだ。


『地球  100位』


 俺の生まれ故郷地球はもれなく、カタログランキング最下位を記録していた。

 さすがの俺でもこの結果にはしばらくの間言葉を失う。

 目だけは説明欄を読み進めていく。


 地球。この世界では魔法は存在しません。科学の発展した世界で、あなたは勉学を励み、仕事をし、人生をまっとうします。常にお金にとらわれて生活しなければいけません。正直、転生におすすめはできませんね。個人能力には圧倒的までに差が出ることや、その差が簡単には埋まらないこと、運の要素が多いことも問題となっています。ぶっちゃけ、やばいです。これを書いている私でも、この世界で生きている人がかわいそうに思えてきます。ここにしようとしている人。残りの人生をドブにすてることになりますよ。考え直してください。まぁ、自分のことなんてどうでもいいというのなら止めませんが。私は責任を取りませんので、どうぞご勝手に。


 途中から説明欄が個人的な感想になっていた。

 人生ドブにすてる世界で悪かったな。こちとらその世界で生まれ育ったんだぞ。

 別に地球になにも特別な想いがあるわけではないが、元地球人としてはこの説明欄に一言モノ申したくなる。

 最後なんて投げやりになっているじゃないか。どんだけ執筆者は地球を嫌いなんだよ。まぁ、他の世界に比べては夢のない世界ではあるだろうがな!

 1位の世界に比べたら圧倒的に悪いところしか思い当たらない。

 お金はかかるし、夢はないし、俺はモテないし。いいところを探せと言われたら、結構な時間をもらうレベルである。

 何だろうか……いつでも遠くにいる人と連絡をとれる…ぐらいだろうか……。

 試しに考えてみたが、そのぐらいしか思い浮かばなかった。

 もっといいところがあるだろうが、俺の人生経験上はこの程度しか思いつかない。


「驚いたか?」

「……まぁさすがにな」

「地球の人気のなさはすごいからな」

「そんなになのか」

「ああ。バカな魂が面白半分で地球を選択する時がたまにあるんだが、その全ての魂が返還要請を出してくるぐらいだ」

「すごいな」

「1回転生したらもうその機会が無くなると口を酸っぱくして、神直々に止めてやるのに、聞かない方が悪いのにな」

「おい」


 神様が止めたらいけないだろ。どんだけ地球に行かせたくないんだ。

 まるで地獄扱いじゃないか。

 その世界に俺は家族や知り合いがいるんだぞ。

 まぁ、もう俺は死んだからどうでもいいが。


 父ちゃん母ちゃん、あと雫、学校の奴……ドンマイ!!


 俺は心の中でサムズアップした。

 ごめんな。先に美少女として他の世界に行ってくるわ! ランキング最下位の世界で幸せに生きてくれ。

 俺はそう思いながら、カタログをそっと閉じた。


「……決まったか?」


 神様が本を閉じた俺にそう聞いてくる。


「ああ」


 俺は自分の声よりもはるかに高い声で男らしくそう言うと、立ち上がり神様を見つめ高らかに宣言した。


「俺は評価ランキング1位の世界に行く。大陸ロンダニウスだ!!」

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