第6話 目が覚めたら俺は○○でした
神様の迸らせた雷は、俺をもう一度殺すのではないかとも思われるほど強力なものだった。
気を失った俺が目を覚ましたのはそれから少し時間が経ってからだ。
目を覚ました俺の視界に入ってきたのは、変わらず椅子に座ってこちらを見るキツネ耳のイケメン神様と、どこかも分からない天界の風景だった。
雷を受けたというのに体に異常がないことが奇跡のようなものだか、もともと死んだ身。苦痛も何も無いのかもしれない。
俺は健康そのものの体を起こし、神様に向き合うと、冷静になった頭で神様に土下座した。
「すいませんでした!!」
「ふん、分かったのならそれでいい。……なかなかに美人だぞ」
「は? なに言ってんすか」
神様の意味わからない返しに俺の頭が理解できていない。
美人だと? なにいってるんだこいつは。もしや、俺ではなく神様がおかしくなったのか? 雷が当たったのは俺じゃなく神様だったとか……。
そんな見当違いもいいことを真剣に考えている俺だったが、そんな俺を見る神様がとてもおもしろそうなものを見る目で俺をじっくり見ているのが気にかかった。
「なにか気になることはないか?」
「気になることって言ってもな……」
そう言い立ち上がる俺は、しかし、満足に立つことが出来なかった。
なんだこれ?
重心がうまくとれない。それに、どことなく体全体が軽くなったというのに胸の部分だけ重いような気がする。
俺はその違和感を確かめるため自分の胸の辺りへと視線を下げる。
するとそこには―――はち切れんばかりの大きな膨らみが2つあったのだ。
俺は思わずその物体を2度見する。
こ、これは……もしや……!
頭の中に一つだけ思い当たるものがあった。
しかし、俺は自分の考えにかぶりを振る。
こんなものあるのはおかしい。男の俺にこんなものがあるはずがない……。だが、それしか思い当たらないのも真実。
俺はつばをごくりと飲み込むと、自分の手をそのふくらみへと近づけていく。
そして、一気にそのふくらみをわしづかみした。
「ひゃうん……!」
頭の中に電撃が走ったと思った途端、俺の口から自分のものとは思えないほどのかわいらしい声が漏れ出る。
それでも、俺はそのふくらみを揉むのをやめない。夢中になって揉みしだいていた。
手のひらに吸い付くような弾力。絶妙なまでの柔らかさ。そして、どこか懐かしいこの感触。間違いない。
これはおっぱいだ!
しかし、なぜに男の俺に女性のおっぱいがついているのか?しかも結構な巨乳だ。
そう疑問に思う俺だったが、そんなことどうでもいいようにひたすらに自分の胸を揉んでいた。それはもう虜になってしまったかのように。
手から伝わってくる感触も、すべてが俺がずっと夢に見ていたことだ。
ここにおっぱいがある。今、俺はおっぱいを揉んでいるぞ……!
しばらく、俺は自分の体のことなど後回しにして、その感触を楽しんだ。
**********
「満足したか?」
神様が自分の胸から手を離した俺に、気持ち悪いものを見る目で言ってくる。
「はぁ…はぁ……。ああ、満足だ」
俺が荒くなった息を整え、神様に向き合った。
はたして、俺のみだれた息は、胸を揉んだことに対する興奮から来るものなのか、それとも、胸を揉まれて感じてしまっていたからなのか分からない。きっとどっちもだろう。
「それはよかったよ。願いを叶えてやったからなには感謝されないとな」
「ありがとう。俺はもう死んでもいい……」
「もう死んでるよ」
「ああ。そうだったな……」
しかし俺はなにかをやり遂げた達成感に満たされていた。
今の俺は幸福感で胸がいっぱいだ。
神様を怒らせるなんて恐れ多いことをしておきながら、俺は後悔していない。こんなことが出来るなんてさすがは有名な神様だけはあるなと思っていたほどだ。
「幸せそうなところ悪いがな」
「なんだ? 今の俺はなんでも許せるぞ。なんでも言ってくれ」
「分かった。じゃあ、そのまま後ろを向いて、そこにある鏡で自分の体を見てみろ」
「はぁ、仕方ないな」
言われるまま俺は重心の違いに少しだけ慣れてきた体を動かし、後ろを向く。
そしてそこにあった姿見に映し出された自分を見て、あまりの衝撃に口をあんぐりと開けたまま呆然とする。
「な、なんじゃこりゃあぁぁぁ!!」
そこに映った俺は、いつものイケメンでも何でもない高校生男子ではなく、まるで俺が夢見ていたような、黒髪ロングの巨乳美少女だったのだ。
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