第2話 レイ

 俺は急に転生者を名乗るレイに尋ねた。


「で、なんで俺たちのパーティーに入りたいんだ?なんでお前は俺達のことを知ってるんだ?」

「君たちのパーティーに入りたい理由は君たちが強いからだ。君たちを知っているのは、君たちのステータスウィンドウを見させてもらったのと噂話から推測したんだ。

 なにせ、俺の貰った能力は『ステータスウィンドウ』と言って、他人のステータスを閲覧できる能力なんだ。」


 やっぱり神から貰ったスキルだったか。恐らくアクアが神ということを知っていたのは、『ステータスウィンドウ』で種族名を見たからだろう。


「なるほどなぁ、だから初めて見る顔なのに、俺達のことを知ってたのか。でも、俺のことについては知りすぎじゃないか?俺は平均より少し知能が高いだけだぞ。噂だって大したものは無いはずだ。」

 悪評以外はな。

「そこらへんは君たちのデュラハンを倒したときの武勇伝を耳に挟んだんだ。魔王討伐のことは、まあ名前からして日本人だから、目指してるんじゃないかと思っただけだよ。」


 ふむ ⋅ ⋅ ⋅ 、確かに話に矛盾は感じない。まあ今のところ欠点はないように見えるが、まだまだ気は抜けない。なんせ、俺達のパーティーは俺以外は変な連中しか入って来ないんだから、こいつも変な奴かもしれない。むしろ変な奴である可能性のほうが高い。まあ、パーティーに入れないにしても、こいつの厄介事に巻き込まれるかもしれないから、情報は集めておいたほうがいいだろう。


「では、これから面接を開始する。」

 俺は碇⚪ンドウのように手を組み、いい放った。


「まず、何故ウチのパーティーに入ろうと思った?」

「魔王を討伐するためだよ。」

「他の転生者のパーティーじゃない理由は?」

「さっき言った通り、君たちのパーティーが強いからだ。」

「前衛か後衛又は支援織のどれだ?」

「魔法使い寄りの魔法戦士。」

「ミツルギ達のパーティーも強いと思うがなぜ俺達のパーティーに入ろうと思った?」

「それは ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ 、実は俺の貰った能力が関係していてね ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ 。」


 ん?そういえば『ステータスウィンドウ』って言ってたな。まさか ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ 、


「パーティーメンバーのスリーサイズをスキルで見てしまった ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ とかか?」

「いやいや、さすがに、出来ないことはないけど、やらないよ。理由は単純に直接的な戦力にならないからだよ。」


 出来ないことはないのか ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ 。


「じゃあなんでなんだ?敵のステータスが解るなんて作戦を組む上で重要だと思うけど。」

「えっと、ぶっちゃけ他人のステータスを開けるのって最近知ったんだよ。だから、そんなこと思い付かなかったんだよ。まぁ、結構近づかないといけないし、どっちにしても難しいと思うよ。」


 ステータスウィンドウに頼りきった作戦は無理っぽいな。だが、もしちゃんとした人ならパーティーに入れたいところだ。なにせ俺のパーティーにはろくなやつがいない。


「そういえば、なんでステータスウィンドウにしたんだ?他にも沢山能力はあったろ?」


 あれ?言ってて涙が出てくる。


「いやー、どんな能力があるか見てたら、ステータスウィンドウって能力があるのに気がついたんだよ。だから『あっちの世界ってステータスウィンドウないの?!だとしたら自分だけステータス使えるとかチートじゃね!』って思ってね。」

「え?でも「そうなんだよ!こっちの世界全然普通にステータスウィンドウあるんだよ!ギルドに入る時に皆一回はやるくらい普及してるんだよ!オマケとして付いてきたアイテムボックス以外ほぼ同じなんだよ!」

「いやでも、アイテムボックスがあるならいいんじゃ「いやいや、アイテムボックスだけで魔王討伐できると思う?!他の人には出来るかもしれないけど、少なくとも僕には無理だよ!」

「他人のステータスを見れるじゃ「それも結構近づかないといけないし、戦闘中にステータスなんて見れないよ!大体僕のはポイントでスキル取れないから弱体化もいいとこだよ!」


 こいつちょっとうざいな ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ 。

 まあでも、こいつも意外と大変な人生送ってきたんだな・・・、なんか親近感が沸くな。勢い余って素が出てるし。


「でも、貰った“者”に関しては俺も酷いもんだったぞ。」

「え!どんなやつ?どんな能力貰ったの?!」

「それはだな・・・、」


 俺は転生したときの経緯を話した。ついでに今までのことも大ざっぱに話した。めぐみんやダクネスのこともだ。ちなみに他の三人が口を挟んでいないのは席を変えて話しているからだ。あいつらがいると話にならん。こっちをチラチラ見てくる所がウザイ。


「君も苦労人だねぇ。」

 しみじみとレイが呟く。

「まーな。ところでお前はどうなんだ?」

「どうって?」

「こっちに来たときどうだったんだ?話聞かせろよ。まあ、こっち来てからそんなに経ってなさそうだけどな。」


 カズマがレイのことをそう判断したのには理由があった。何故なら、レイの装備がぱっと見安っぽいことから、この世界での最初の『資金調達アルバイト』に嫌気が差してナイフ一本でここに来たんだろうと考えたのだ。


「いやいや、僕は少なくとも君よりはこの世界に来てから経ってるからね!」

「いやでもそんな装備で・・・あっ!」

「ああ、僕の装備で判断したのか。持ち物は、服とナイフ以外アイテムボックスに入れてるからね。駆け出しに見えても仕方ないね!」

 何故か勝ち誇ったような表情を浮かべるレイ。うざい。

「ところで、さっき言ってたことって本当か?」

「ん?さっきって・・・、何だっけ?」

「少なくとも俺よりこっちに居るんだろ?さっき言ってたじゃないか。」

「あぁ。僕はこっちの世界に来てから大体15年くらいだから、君よりは長いはずだよ。」


 俺はいきなりのレイのカミングアウトに吹き出しそうになった。


「15年?!」           

「うん。僕は君たちと違って異世界転生・・だからね。」

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