第3話
第三章
若い頃は自称放蕩無頼の文学青年だった。
自分だけの狭い世界に閉じこもって、同じような失敗をし、『世間の目を木にして行きてきた幸男よ、もう最終章だゾ』と自分に言い聞かせた。もう自立する時間は限られている。しかし、人間は無条件に自由である。特定の在り方はどこかにあるはず。
要するに道というような不変な理は存在せず、空是空の三文字があるだけ。誰も生あり、形あるものはいずれはこの世を去るしか無い。
つまりぼんやりしたものが心にまつわりついて離れないのである。
私の行く手にあるのは、無常と空是空という透徹した真空状態が思い浮かぶ。反対に光もまだ失われていない。
「空虚」という文字から、私はなぜに消える。
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