第17話 伯爵家4
「おはようございます、カズヤさん」
えーっと、なんでレミアさんがここに居んの?
俺は昨日屋敷の残ってるアンティーク品を一つずつ直していった。その後に疲れて物置小屋で寝ちゃった。なのになんで伯爵様がこんな物置小屋に、俺の隣に寝てるんですか?!
「なんでここにいるんですか?」
「昨日の夜カズヤさんがここに入っていくのを見たので追いかけて入ってみれば、なんか急にめまいがして、そして」
なるほど、俺のせいってわけか。
昨日は久々に魔力を使いすぎて、寝るときに魔力のコントロールをミスったみたいだ。
「多分それ俺のせいです。すみません」
「いえ、そうでしたか。大丈夫ですよ。気にしないでください」
「かーずーやー!」
あ、やばい。ミリアーナに見つかったみたいだ。それにかなりご立腹だ。
「なんで他の人と寝てるんですか!作業が終わったら戻ってくるっていいましたよね?!」
「そ、それには深い
「問答無用!」
「ちょ、ちょっと待った!こんな場所で剣を振るな。あ、ばか!」
■
「今回はありがとうございました。おかげさまで何事もなく?終わりました?」
なんでちょくちょく疑問形何ですかね?
「いえいえ、こちらも楽しめました。呼んでくれてありがとうございます」
「ところで何ですが、カズヤさんって貴族になる気ってないですか?」
「ないですね」
なんで俺は自ら目立つことをしなきゃなんないんだ。それに貴族なんてめんどくさいだけだろ!
「そうですか、残念ですね」
残念じゃないですよ。俺はほんっとに貴族になんてなりたくないんですよ。
「カズヤは目立つことがしたくないんです!貴族様なんかになるわけがないじゃないですか!」
その通りだ、ミリアーナ!いいこと言った。
「そういうわけなんで俺は貴族になる気はないです」
「そうですか。本当に残念です」
そんなに悲しそうな顔をしないでくれよ。なんか俺が悪者みたいじゃないか。
「これはささやかなお礼です。また、いつでも来てくださいね」
その笑顔は反則です。それに渡されたこの袋の中身、絶対硬貨だよね。それも50枚以上の。
「ありがとうございます。じゃあ、俺達はこれで」
「さようなら、レミアさん」
「はい、さようなら。絶対また来てくださいね」
そういわれて、俺は屋敷を後にした。
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それにしても今回は大変だったな。いろいろと事件がかぶり過ぎた。それにしてもあのセルシオさんどうなったんだろう。多分だけどセルシオさんは濡れ衣を着せられただけだと思うけど。
後で詰め所によっておっさんに聞いてみよう。
「これからどうしますか」
「とりあえず宿に戻ろう。その後のことはそのあと考えよう」
■
「あー、二日間もどこ行ってたんですか!」
宿に入って開口一番に聞いたセリフがそれだった。
「どこって、言ったろ?伯爵様のお屋敷だよ」
「それにしては長くなかったですか?」
「いろいろ事件に巻き込まれてな」
「へー、そうですか。それにしては何の情報も街には投げれてないですけど?」
「それは、まぁ、俺がいろいろやったからな」
なんか疑いの目が俺に向けられているんですけど。なんでですか?
「じゃあ、俺達は部屋に戻るから」
「カズヤさん達の部屋はもうないですよ」
「「…え?」」
「なんでですか?」
「知らないんですか?冒険者が借りている部屋は言伝なしで二日以上開けると勝手に開け払われるんですよ。しかも今日はどこの部屋も満杯です」
え?そうなの?初めて聞いたんだけど。それに部屋が満杯って今日はどこに泊まればいいの?
「どこも開いてないの?」
「はい、今日はどこも開いてないらしいですよ」
えー、マジでどうしようかな。もう一晩レミアさんの屋敷に泊めてもらおっかな。いあや、それはレミアさんに悪いか。うーん、どうするか。
「もしかして今日泊まる場所がないんですか?」
「う、うん」
「え?ほんとですか」
「ああ、ほんとだよ」
なんかミリアーナまで哀れみの目で見てくるんだけど。
「ミリアーナ、今日の泊まる場所どうしよっか?」
「ほんとにないんですか?」
「ああ、マジで本当」
とりあえず宿屋の受付に聞いてみよう。もしかしたらサキさんの勘違いかもしれないし。
「はい、今日は団体のお客様が泊りに来ていて—」
何でも近いうちに勇者様御一行がこの街に来るらしく、その姿を一目見ようとたくさんの人が来てるらしい。
勇者様御一行ね、あんまり関わりたくないな。そういう人たちって何かと面倒事持ってくるからな。
そうだ!これを機にこの街を出ていくって手もあるな。そうするか。
「ミリアーナ、そろそろこの街を出てもいいかなーって思うんだけど、どうかな?」
「私は別にカズヤの行くところについて行くだけだから」
なんてうれしいことを言ってくれるんだ。
「えー!カズヤさんたちってこの街出て行っちゃうんですか?!」
「いや、そろそろ出てもいいかなーって思っただけだよ」
「出て行っちゃうんですね」
なんでサキさんが悲しそうな顔をするんだろう。
ってか、本当に今日の泊まる場所どうしよう。
「サキさん。どこか泊まれる場所ないですか?」
「私の部屋、なんてどうですかね?なんて」
「いいんですか?」
「え、えー!ほんとに来るんですか?!」
なんでこの人は来てもいいですよと言って、驚いているんだろう。
俺とミリアーナは首を傾げた。
「ベットも一つしかないですし」
「別に部屋さえ貸してくれるんだったら俺達は床でいいですよ。な、ミリアーナ」
「はい、もちろんです」
ということで今夜の泊まる場所をゲットした俺達だった。
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