第14話 伯爵家 1
ドラゴンを倒した日から一か月が経った。その間も俺たちはギルマスからの指定依頼を難なくこなしていき。ミリアーナの冒険者ランクもBランクまで上がっていった。
「すいません、カズヤさん!あなたのことがオイスター伯爵にバレました!」
俺は昨日指定依頼の水龍の討伐に行っていたのだが、水龍の住処である湖にちょうど伯爵家の調査員が水質検査に来ていたらしく、そこで俺たちは目撃され、ギルマスは問い詰められ、素直に答えるしかなかったらしい。
「俺たちが遮蔽結界を張らずに行っていたせいですよ」
「遮蔽結界って何ですか?!まぁ、そういってもらえると助かります」
ここ最近俺が見知らぬ単語を発するとこういう反応をする。
あんな場所に伯爵家の調査隊がいたなんて想像もつかなかった。
「で、俺たちはこれから伯爵家に行けばいいんですか?」
「そうだ。本当にすまない」
俺たちはギルドから伯爵家までの地図を貰い、部屋を後にした。
■
「本当に行くんですか?」
「ああ、しょうがないだろ。流石に伯爵の招待を無下にはできない」
「そうですか…あまり目立ちたくなかったんじゃ」
「ことが大きくなったら記憶を消せばいい」
なんか俺が言ってることって悪者っぽいな。この際しょうがないけど。
伯爵家はこの街の中央にでっかい屋敷が建っている。大きさは一万㎡はくだらない。
そこまで俺たちは辻馬車に乗って移動している。しかし、
「カズヤ、辻馬車じゃここまでしか行けないみたいです。ここからは箱馬車じゃないと」
十日ほど前からミリアーナの君呼び無くなってきてきていて、今じゃ呼び捨ての仲だ。付き合ってたらこれが普通なんどろうけどね。
そういうことで俺たちは辻馬車を降り、箱馬車乗り場に向かった。
「ここで箱馬車に乗り換えれるらしいですね」
「そうだな」
箱馬車はそのままの見掛けだった。
■
伯爵家はデカすぎて入り口からは屋敷がシル〇ニアファミリーの屋敷程度にしか見えない。
「でかいですね…」
「あぁ、でかいな…」
俺たちがため息をついていると入り口の端にある小屋から一人のタキシードを着た、若い男の人が出てきた。
「エトー様とミリアーナ様ですね?お待ちしていました」
ここからは伯爵家の箱馬車で屋敷まで移動するらしい。
この箱馬車がまた豪華なこと。内装も然ることながら外装もいくつもの宝石が散りばめられており、造りはミスリルと鉄の合金で出来ている。
「もう少しでお屋敷に到着いたします」
気づけば屋敷が近くに見えて来ていた。屋敷は左右対称のシンメトリーと呼ばれるやつだ。
■
「ようこそオイスター伯爵家へ。待っていましたよ、エトーカズヤさんとミリアーナさん」
なんとオイスター伯爵は女だった。長く綺麗な金髪に蒼い瞳。高身長でおしとやかな雰囲気がある。
「この度はお呼びいただいてありがとうございます」
「敬語は不要ですわ。私はレミア・ヴァン・オイスター。以後お見知りおきを」
「そうか?じゃあ、よろしくな。俺は江藤 和也、こっちが俺の彼女のミリアーナだ」
「おい、おまえ!」
「いいのです」
レミアさんは俺に掴みかかろうとしていた騎士を手を出して抑えた。
「今日はどういったご用件で」
「昨日うちの調査隊が湖の水質調査に行ったのはご存知ですか?」
「はい。その時に俺らを目撃したそうで」
「その通りです。率直に言います。あなた達の力は何ですか?」
俺たちはミレイさんに自分たちのステータスを見した。
この世界のステータスの役割は身分証や名刺の代わりになったりする。
「本当にこれはあなたのステータスですか?」
もしかしてバレたか?俺は韜晦スキルで創ったステータスを見している。
「カズヤさん。本当のステータスを見してもらえますか?」
俺は素直に本当のステータスを見した。
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名前;江藤 和也 男 Lv142
職業;創世の魔法使い
体力;0
筋力;142000
俊敏;142000
抵抗;142000
魔力;99999999e+24
魔抗;142000
固有能力:不滅 全属性適正 全属性耐性 全状態異常耐性[呪詛耐性] 気配察知[熱源感知][気配探知] 詠唱短縮[高速詠唱][詠唱破棄][詠唱省略][詠唱改編][並列詠唱] 魔力感知[魔力探索] 超高速魔力回復[魔力吸収:自然] 魔法創造[効率上昇][消費魔力軽減] 複合魔法[効率上昇][消費魔力軽減][3属性複合][4属性複合][5属性複合][6属性複合][重複魔法] 韜晦[複数韜晦][名前偽造] 魔力操作[魔力圧縮][魔力放射][座標設置][遠隔操作][魔力設置][遅延発動][魔力吸収] 魔力返還<血>[血盟契約:己] 歩術[疾走][空歩][縮地][瞬光] 限界突破 言語理解
取得魔法:全属性魔法 元素魔法 破壊魔法 重力魔法 時空魔法 生成魔法 守護魔法 付与魔法 精神魔法
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「クククッ。本当に偽のステータスだったんですね」
え?!くっ!はめられたか。まさかこんなにかわいい人がカマをかけるなんて思ってもいなかった。
「カマかけてたんですか?」
「ええ、まさか本当にこんな方法にかかる人がいるとは思ってませんでした。フフフ」
いまだに笑いが収まらないらしい。ミリアーナも隣でクスクス笑っている。さっき俺に掴みかかろうとしていた騎士も笑っている。
「で、本題を話してください。なんで俺たちを呼んだんですか?」
「ただ気になったからですよ」
この人ならやりかねない。それにしてもいい加減に笑うのをやめてほしい。
俺はミリアーナの頭にチョップをかます。ものすごく加減してだ。
「んんっー」
ミリアーナがしゃがんで頭を押さえて悶えている。そんなに痛くないだろうに、大げさだなー。
「でも、これじゃあ気になっただけではすみません」
「と言うと?」
「あなたにはこの街にいる限り私たちの監視を受けてもらいます。こんなステータスがある方を野放しにはできません」
最近ピオラさんに聞いたことだが、俺は既に1人で国ひとつ簡単に滅ぼせるほどの力があるらしい。もちろんSSSランク冒険者さんも同じことが出来ると言っていた。
「別にそれは構わないが、俺の秘密を他人に口外しないようにこれは受けてもらうぞ。
「貴様何を!」
そばに仕えていた騎士が腰の剣に手を伸ばし、俺に向かって振り下ろす。
その剣が俺にあたる事はもちろんなく、丁重に気絶してもらった。
この騎士からは俺のステータスの記憶を消しておく。
「ちょ、カズヤ。またこの人首折れてる!」
またやってしまった。この1ヶ月の間にも何回か絡まれることがあっつ。その都度俺は気絶させようと人差し指で項らへんを叩いているのだが、その度に皆、首が折れているのだ。
「
一応治しておく。首の骨が折れた時の記憶も消しておくか。
「今レミアさんには
本当に俺は悪役ぽいな。
「あれ?そうしたら何の理由でカズヤさん達を監視させるんですか?」
しまった!!考えてなかった。
「もう監視しなくていいんじゃないですか?」
「そうゆう訳には行きませんよ!」
しばらくレミアさんは考えたあと、未だに寝っ転がっている騎士を起こし、「この人達は私の大事な友人です。今怪しい人に合われているそうなので見張って挙げてください」という理由で俺たちの監視の任につかせていた。
「これで解決しましたね。じゃ、俺たちは帰りますので。失礼しましたー」
「ちょーとまった!何帰ろうとしてるんですか??」
「「え?!」」
俺達が帰ろうと出口に向かうと、後ろからレミアさんが襟を引っ張ってきた。
「何帰ろうとしてるんですか?!ここは一応伯爵家ですよ?!人を呼んで何もしなかったなんて噂がたったら大変なんですよ!せめて1食ぐらいして言ってくださいよ!」
この人フレンドリー感が溢れ出ていてものすごくいいわ。なんか和む。
俺はミリアーナとアイコンタクトをとり、1食頂くことした。
「ありがとうございます。じゃあ夕食が出来るまで部屋を用意させるので待っていてください。後で私もお話をしに行きますね!」
そう言うと扉の向こう側に待っていた執事さんに何か伝えて、俺たちは部屋に案内された。
■
コンコンッ
部屋のノックと共にレミアがトレーを持って入ってきた。この人伯爵様だよね?なんで雑用やってんの?
トレーには紅茶の茶葉や空いたカップ、お湯の出る
レミアさんはカップにお湯を注ぎ初め、俺たちにカップを差し出してきた。
「どうぞ、温かいうちに」
「あ、ありがと」
ズズズズッ
あれ?なんか周りから見られてる気が?紅茶って音立てて飲んじゃダメなんだっけ?
「カズヤ失礼ですよ」
やっぱりマズかったらしい。ミリアーナがこっそりと教えてくれた。ありがとうミリアーナ。大好きだ!
「それで、カズヤさん。少し聞きたいことがあるんですけど、いいでしょうか?」
「ああ、答えられる範疇でな」
レミアさんは「はい」と答えやや弱めのマシンガンのように聞きたかったであろうことを聞いてきた。
ステータスのことや、ミリアーナとの関係、なぜ湖に居たのかなど、色々聞かれた。
聞かれたことには素直に答えられる事と、答えられないことが混じり合っていたが、しっかりと答えられることにはしっかりと、答えられないことにはなぜ答えられないのかなどと丁寧に返していった。
「カズヤさんは迷い人だったんですね。
ところで今期の勇者の話って聞いてますか?」
「いや、全く聞いてないけど」
「そうなんですか?何でも今期の勇者は神様らしいんですよ。風の噂だと」
へー。暇な神様も居たものだ。地球の傍観主義神様と違ってこっちの神様は自らが勇者となって助けてくれるのか。いい世界だな。
「へー、神様ですか。凄いですね」
「でしょでしょ」
「はい」
「・・・」
「どうかしましたか?」
「話すことが無くなってしまいました」
あー。よくあるよねそういうことって。俺も友達と電話してる時とかにあったわこういうこと。
「どうしましょ…」
俺が何か話題はないかと考えているそんな時。
コンコンッ
部屋の扉をノックされた。俺達が返事をする前に扉が開けられるということはなかったが。
「どうぞ」
「失礼します。お食事の用意が出来ましたので食堂へどうぞ」
おー!
俺たちを予備に来たのはクラシカル系のメイドさんだ。この世界来て初めてメイドを見ました。いや、生まれて初めてメイドさんを見ました!いやー、メイドはいいよね!
「レミア様もドレスに着替えてください。では、失礼しました」
そう言ってメイドさんは部屋を出ていった。あーあ、もっとメイドさん見ていたかったなー。日本にいた偽メイドじゃなくて本物のメイドさんを。
「カズヤ。何考えてる、の?」
やばい、ミリアーナから殺気が漏れてる気がする。目も笑っていない。冷たい目だ。
「さ、さぁご飯を食べに行こう」
そうして俺たちは食堂に向かっていった。
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「あー、美味しかった」
「ほんとに」
夕食はものすごく美味しかった。全部食べれないのが残念なくらい。
夕食は鳥の丸焼き、骨付き肉にマリネ、ラタトゥイユにカボチャのスープなど、今まででこんなに美味しいものは食べたことが無かった。
「カズヤさん!外も暗くなってきました。今日はもちろん泊まって行きますよね?ね?」
顔が怖い!なんで鬼気迫ってるんですか?
ミリアーナと俺はアイコンタクトで
(どうする?)
(私は別にいいかなーっと)
(そうか?)
(はい)
「レミアさん。じゃあ今日は泊まらせて貰うよ」
「そうですか?!じゃあ、部屋にベットを用意させますね!」
そう言ってレミアさんはどこかに走って言ってしまった。
その後俺達が借りてる部屋に行くと、中にはダブルのベットが置かれていた。枕元に紙切れを置かんでよろしい!
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