第6話 覚醒
須藤は腰に帯剣していた短剣を俺に向かって投げ飛ばす。狙いは頭。
短剣は狙い違わず俺に向かって飛んでくる。飛んでくる短剣には先ほど同じく黒い靄がかかっている。十中八九死の呪いだろう。
あーあ、俺の人生、短かったな。俺死ぬのかな?世界がゆっくりに見える。とっくに『アクセラレートワールド』は切れているはずなのに、これが走馬灯ってやつなのかな?
ブスッ
短剣は軌道をそらされて胸に刺さった。俺ではなくデルタさんの胸に…
「デ、デルタさん?!」
「なに?!デルタだと?!おいフェルナンデスどういうことだ?!」
「へー、これが草原の魔女、か。面白いね」
魔法使いの男はフェルさんを問いただし、須藤はデルタさん小馬鹿にして笑っているがそれどころじゃない。
「デルタさん!なぜここに?!」
「ゲホッ 城で、カズヤさんのはな、しを聞いたの。ゲホゲホッ それで嫌な予感が、したからね」
デルタさんは血を吐きながら胸に刺さった短剣を抜いた。
「ごめんね、カズヤ、さん。こんな目、に、合わせてしま、って。」
「そ、そんなことはないです!お願いだから!お願いだから死なないで!お願い!」
デルタさんはこの世界での俺の母のような存在だったのだと、今気が付いた。デルタさんが死ぬと思うだけで心の底から涙が混みあがってきた。
「かずや、さん。この世界に、来てくれてありが、とう。」
そういうとデルタさんは静かに息を引き取った。
俺は泣いた。本当は一晩中泣いていたい、けれど俺にはやるべきことがある。
流れ出る涙をぬぐい、俺は覚悟を決めた。
「別れの挨拶は済んだかい?」
頭の奥に須藤の声が響く。その言葉が俺の何かに掛けられていた鍵を解いた。
「ああ、済んだとも。あとはデルタさんの仇を討つだけだ」
「仇?呪いがかけられている君に何ができるって言うんだい?」
確かに俺はいまだに地面に膝をついている。
だが、まだ手はある。
「こうするんだよ!!」
俺は自分の手首を噛み切った。そこからは血があふれ出てくる。しかし、あふれ出る血は地面に着く前に、赤い霧となって俺の体に溶け込んでいく。
「万物すべてを飲み込む闇 イグナイテットゼロ」
「な、何故魔法が使える?!」
須藤は初めて驚いた顔を見せた、がすぐに冷静になり自分と仲間たちに結界を張ったようだ。
しかし、それは無駄な努力。今辺りを飲み込んでいる闇は万物すべてを分解、消滅させる。時空魔法でもない限り効果はないだろう。
俺は自分の周辺の空間を断絶した。
割れた空間から見えるのは、闇。山小屋もその周囲すべてのものを闇が覆いつくす光景。デルタさんは俺と一緒にいる。
闇の中からは、すでに須藤たちの声は聞こえない。分解され塵とかしたのか、はたまた運良く逃げ出したのか定かではないが、少なからず重傷は負っているだろう。デルタさんの仇はいつか必ず討つ。
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俺はもともと山小屋があった土地の地面を掘り、デルタさんを埋葬した。石碑には「最愛の先生ここに眠る」と日本語で彫った。俺が今できることのすべてはやった。
俺は此処を立ち去ろうと歩き出すと足に何かが引っ掛かった。引っ掛かったのは魔石だ。魔石には小さく魔法陣が彫られていた、創造魔法の。
「
俺は魔石に創造魔法特有の魔力を流し込んだ。今気が付いたが魔力の色が黒色に変わっていた。
魔石に魔力を流し込むと、俺の体はどこか狭くて暗い場所に転移した。
辺りは真っ暗で何も見えない。あの魔石は強制転移装置の一部だったんだろう。
「小さき灯 ブライト」
俺の頭上に小さな光の球が浮かび上がる。照らされてあたりの景色が見えてきた。
ここには机と椅子、それに何やら幾多の形をした石を組み合わせたような長方形の石板があった。石板にはさっきの魔石と同じように、創造魔法の魔法陣が描かれていた。
俺は魔法陣に魔力を込めた。
すると、石板が光りホログラムのようにデルタさんが映し出された。
「カズヤさん。あなたがこれを見ているということは、もう私は死んだのでいるのでしょう。
カズヤさんには伝えなくてはならないことがあります。
私、本当はあなたがこの世界に来ることを知っていました。あなたをこの世界に召喚したのは、私の師匠ニーナ・マギ、です—」
要約すると、デルタさんは俺がこの世界に来ることを知っていた。
この世界に俺を召喚したのはデルタさんたちの師匠。理由はデルタさんたちの師匠をを止めてほしいから。
デルタさんたちの師匠は魔王。しかし今は封印されている。
「カズヤさん。師匠を許してほしい、自分勝手なお願いだとはわかっています。けれど、どうかお願いします。あなたには人を恨んでほしくない」
それを最後に石板の光は消えた。
俺はもう一度辺りを確認する。まだデルタさんからの遺言があるかもしれない。
俺は机の中を物色した。すると中には一つの封筒と一振りの小太刀がしまってあった。多分これがデルタさんが前に教えてくれた
俺は小太刀をデルタさんの形見代わりにもらっていくことにした。
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あれから1か月ほど経った。俺は今、元山小屋の近くにある『封印の洞窟』と呼ばれた洞窟の中にいる。この洞窟の場所はデルタさんの遺言のあった部屋の机の中にあった封筒に書いてあった場所だ。
『封印の洞窟』は昔に
俺はこの洞窟の最深部以外でこの一か月みっちりレベル上げをしていた。
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名前;江藤 和也 男 Lv120
職業;創世の魔法使い
体力;0
筋力;12000
俊敏;12000
抵抗;12000
魔力;99999999e+20
魔抗;12000
固有能力:不滅 全属性適正 全属性耐性 全状態異常耐性 気配察知[熱源感知] 詠唱短縮[詠唱破棄][詠唱省略][詠唱改編][並列詠唱] 魔力感知 超高速魔力回復[魔力吸収:自然] 魔法創造[効率上昇][消費魔力軽減] 複合魔法[効率上昇][消費魔力軽減][3属性複合][4属性複合][5属性複合][6属性複合] 韜晦 魔力操作[魔力圧縮][魔力放射][座標設置][遠隔操作][魔力設置][遅延発動] 魔力返還<血>[血盟契約:己] 歩術[疾走][空歩][縮地] 限界突破 言語理解
取得魔法:全属性魔法 元素魔法 破壊魔法 重力魔法 時空魔法 生成魔法 守護魔法 付与魔法 精神魔法
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魔力がありえないほど増えた。999999999×10の20乗である。
スキルにも『複合魔法』や『魔法創造』に派生スキルがたくさんついた。
俺はこれから最深部に封印されている上級魔族を倒しに行く。
洞窟内はヒカリゴケの異世界版のようなライトマイマイという貝が壁に張り付いていて、洞窟内を照らしてくれてくれる。このライトマイマイも魔物であるが人に害はないので倒したりはもちろんしていない。
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ヒカリマイマイ Lv1
体力:1
攻撃:1
魔力:100000
防御:1
魔防:1
取得魔法:ブライト
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魔力は辺りを照らしてくれる光を出すために多いがそれ以外は1だ。魔物には稀に
洞窟内の階段を下がっていき、とうとう最深部に着いた。最深部には鉄のような扉がはめてあり、扉には光魔法の『サンクチュアリ』の結界がかけられている。
俺は扉に書かれている魔法陣に手を当て、かけれれていた魔法を
ギィーー
扉は重そうに内開きに開く。中からは黒い靄(呪いではない)があふれ出てくる。
「誰だ?我の結界を解いたものは」
「お前が上級魔族か?」
「ふっ、いかにも我が魔王様の四天王の一人、エ「そういうのいいから」」
俺は最後まで話を聞かずに突撃した。
最初に放ったのは加減なしの『ファイアーボール』だ。しかし、俺の放ったファイアーボールは上級魔族に簡単に避けられてしまう。
「おい、ニンゲン。最後まで我の話を聞かんか!」
上級魔族が怒鳴るとその声が衝撃波となって襲ってくる。俺は踏ん張るが、10メートル後ろへと後ずさりさせられる。上級魔族は俺に黒い槍のようなものを放つが俺には当たらない。俺はすでにそこにはいないからだ。
俺は上級魔族の後ろへと移動し最大出力の『ホーリーレイ』を放つ。ホーリーレイはこの空間を余さず飲み込み上級魔族を消し飛ばした、ように見えたが流石は上級魔族。何とか耐えたようだ。
「貴様は何者だ!なぜニンゲンごときが我に傷をつけることができる!」
おや、あの威力のホーリーレイを食らって傷しかつかないとは。俺は少し気になって上級魔族を鑑定してみた。
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名前;エキシュノート 男 Lv360
職業:上級魔族
体力;4783247
筋力;234789
俊敏;4783
抵抗;234789
魔力;234789
魔抗;234789
取得魔法:悪魔魔法
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めっちゃチートだった。これ封印したヤツすごいな。ってか上級魔族って職業だったんだ。まぁ、俺の敵じゃないけどー。
俺は最大出力の『ホーリーレイ』を10発連射した。確実に上級魔族は弱ってきている。
「貴様は何者なの「うっさい」」
俺は最後のホーリーレイを打ち込んだ。すると上級魔族は霧になって消えていった。
上級魔族が元居た場所には小さな指輪が落ちていた。指輪には王冠に蔦が絡まったようなレリーフが掘ってある。
俺はそれを拾って次元倉庫へとしまった。それが厄災を呼び込む
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