第4話 模擬戦

俺はなぜかフェルさんと模擬戦をやることになりました。


何でも俺の今の実力を知るためらしい。まぁ、始めよう。


「模擬戦開始!」


なぜかデルタさんは開始の声に気合が入っていた。


「吹き飛ばせ! ラ・フィーガ」


俺に向かって風の塊が周りの木の葉や砂を巻き上げてこちらに突撃してくる。


も、もうだめだ…なんてこともなく。


「摂理の円環へと帰還せよ ディスペル」


目の前まで迫っていた風の塊は目の前に現れた魔法陣に吸い込まれるようにして霧散した。


「なかなかやるな。これならどうだ?」


なんかフェルさんが悪役に見えてきた。


「焼き尽くせ  ヘルファイア」


「ちょ、ちょっとそれはシャレになりませんよ?!」


フェルさんの手に黒い、禍々しい炎が集まる。それはだんだんと大きさを増していき、最終的には直径2メートルほどの黒い炎が出来上がった。そしてそれはこちらに向かって突撃してくる。


「摂理のえんか(くっ、間に合わないか) 『空間断絶』!」


いっきに魔力を持っていかれたが、ヘルファイアはに吸い込まれ消えた。


(ずっと受け身に回っていたらフェルさんには勝てない。それなら攻撃は最大の防御ってね)


「極光 ホーリーレイ」


右手をかざし現れた魔法陣から放たれる一条の光線。それは狙いを寸分違わずフェルさんへと向かっていった。


(あ、加減ミスった)


しかし、すでに後の祭りだ。フェルさんが避けてくれることを願うしかない。避けてくださいね、フェルさん。

光線はフェルさんに直撃した。いや、直撃したように見えたのだ、光線とフェルさんとの間には青い魔力光を放った盾『イージス』があった。


「勝者 カズヤ」


そういうとデルタさんは俺に向かって歩いてきた。俺は怒られるのだろうか?自分の大事な弟子を殺すかもしれない一撃を放たれたのだ。怒られても文句は言えない。


「カズヤさん。

先ほどの光線はかなり危なかったですよ…けれどすごかったのも事実です。

カズヤさんは感情的になると魔力操作を誤る時があります。これからはそういうところも直していきましょうね。今回は私がカズヤさんにそういうところを教えなかった非もあるので怒りはしませんが、これからは気を付けてくださいね」


「…はい」


てっきり怒られるかと思ったが。

確かに俺は感情的になると魔力操作ができなくなる傾向にある。これは直せなければ。治るといいんだが。


そのあと俺たちは壊した自然や消し飛んだ山の一部を直しに行ったりして、午後はそれに費やされた。


ーその夜ー


「いやー、やっぱりカズヤ君は強いね。でも次は負けないよ?」


俺は少し気まずくて、首だけを縦に振り答えた。

俺はこの日、フェルさんの顔を見ることができなかった。もともとが平和ボケしていた日本人なのだ。そんな人が人を殺しそうになったのだ。心の整理だとか、罪悪感とかが半端じゃない。

けれどこれもこの世界で生きていくためには克服しなきゃいけない内の一つなんだろうな。


そして俺はベットに潜り混み、これからのことを少し考えてから眠りについた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おはようございます」


俺は眠い目を擦りながらリビングへと降りて行った。太陽はまだ顔を出してはいない。なぜこんな時間に起きたのかというと、今日は山を下りて都に出るからだ。

普段の食材は森に住む野生動物の肉や果物、魔物の肉などは山で取れるのだが、流石に香辛料などの調味料は山では取れないものが多い。なので都に降りて調味料を買いに行くのだが、今回はデルタさんが「一緒に行って都見物でもしませんか?」と言ってくれたので一緒に行くことにしたのだ。

え?まだ答えになっていないって?デルタさんは人ごみが嫌いなんだよ。デルタさんは都などでは「草原の魔女」として有名だから、あまり人目がない朝一に都に行って帰ってくるのだ。これでいいかな?


そんなわけで俺たち二人は今山を下っている。山を下りるときはたまに山賊が襲ってくるので、俺は他人の命を奪うという体験をすることになるだろう。まぁ経験するなら早い方がいいよな。


人を殺すことをなめていた。魔物なら今までだってレベル上げのために数えきれないほど倒してきたが、人は違った。

俺は今日初めて人を殺した。


ー10分後ー

今俺はデルタさんに連れられて、見晴らしのいい高台の岩に腰かけている。

まだ手にはあの時の感覚が残っている。肉を切ったときの感触が(人と魔物では感触が違う)。多分これは一生消えることはないだろう。いや、忘れてはいけない。誰かが言っていた「殺しで一番怖いことは殺すことをなんとも思わなくなった時だ」と。それは確かにそうかもしれないが例外があってもいいだろうか?この世界では弱肉強食。殺しをためらっていては間違いなく俺は死ぬ。


それからまた10分ほど。やっと心に整理ができた。俺の考え出した答えはこれだ。

『魔物は殺す。たとえ相手が人であっても敵意を向くなら殺す。敵と認識してまで生かしておく必要はないから。』これが俺の決めたこの世界でのルールだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


やっと街に着いた。あんなことがあったから街に着いたのは7時頃になってしまった。

なのになぜ俺たちは街を歩いているかというと、風魔法の『蜃気楼ミラージュをうまく使って幻影をまとっているのだ。触られたらバレるけど、知らない人に触れる人はまずいないだろう。


「そこの金髪のお兄ちゃん!うちの野菜はどうだい?安くておいしいよ~」


金髪のお兄ちゃんとは俺のことだ。ちなみにデルタさんは元の銀髪から翠髪に変わっている。


「じゃあ、二つ貰おうかな」


「はいよ、銅貨20枚だよ」


この世界の硬貨は銅貨<銀貨<金貨<白金貨の順で、地球の価値で銅貨=10円、銀貨=1000円、金貨=100000円、白金貨=10000000円、王金貨=100000000円の価値がある。王金貨以外前の硬貨の100倍だな。

銅貨、銀貨、金貨にはライオンに蛇が絡まったようなレリーフが彫ってある。白金貨、王金貨にはこの世界の神様の肖像画が彫ってあり、白金貨がミスリル、王金貨が純金でできている。ミスリルとかあるんだな。


「はい、銀貨一枚」


俺はお金の入っている巾着袋から銀貨一枚を取り出し売り子の女の子に渡した。


「えーっと、銀貨一枚だから、えーっと」

「お釣りは銅貨80枚だよ」

「あ、そうだよね。わかってたもん私」


そういうと女の子は店の中に走って行って、銅貨80枚をトレーに乗せて戻ってきた。


「はい、銅貨80枚。また買ってねー」


俺とデルタさんはその言葉を後にしてその店を出た。

その後もいくつかの店を冷かして回って調味料の売っている店に来た。


「香辛料を10キロほど欲しいんだけど」

「金貨5枚だよ」


香辛料はやはり異世界だとかなり高い。にしてもぼったくりすぎだな。定価は金貨30枚ぐらいのはずなのに。


「ちょっと高くないですか?」

「最近、香辛料を運んだ行商人の馬車が盗賊に襲われたらしくてな、入荷の数が少ないからその値段なんだ」


なるほど、盗賊ね。この世界には盗賊がいるのか。まぁ、山賊がいるんだ盗賊がいたっておかしくない。いやそれが普通か?

盗賊か、一度見てみたい気もするけど…


「じゃあ、その価格で」

「まいど、金貨4枚と銀貨50枚に負けてやるよ」

「?!あ、ありがと」

「その反応、兄ちゃんどっかの貴族のボンボンか?」

「いいえ、どうしてそう思ったんですか?」

「普通はもっと安くしてもらうために必死に交渉するもんなのさ。それが兄ちゃんにはなかったからそう思っただけさ。違ったならごめんよ」


そういわれ、俺は金貨5枚を渡し、銀貨50枚をお釣りでもらった。これからは頑張って値切ってみるかな?


その後も俺の服を買ってくれるデルタさんに行ってもらったので、呉服屋に寄ったり、屋台で魔物の肉の串焼きを買ったりして買い物を楽しんだ。


帰りはデルタさんは『創造魔法』を使って空飛ぶ靴『タラリア』。俺は『フライ』

の魔法を使って、山小屋まで競争をしながら帰った。


「ただいま~」

「お帰り、カズヤ君、先生」

「ええ、ただいま」

「先生、今日昼頃に王都からの使いの者が来ましたよ」

「そうだったの、内容は?」

「今度、王都で魔女会議が開かれるとかで、迷い人に対しての議会を開くそうです」

「そう、分かったわ」


迷い人か、俺もその一人だということを忘れそうになる。最近は特に楽しいことが多かったからなおさらに。


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<今日の戦利品>

香辛料10キロ・・・金貨4枚と銀貨50枚

野菜・・・銅貨20枚

ローブ・・・金貨3枚

下着・・・銀貨10枚

紙とペン・・・銀貨10枚

串焼き・・・銅貨20枚

宝石・・・金貨5枚

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今日買ったのはこんな感じだ。

ローブには認識阻害の魔法をかけてあり、かなり高かった。デルタさんマジでありがとう。下着はフェルさんのを借りていたんだが、いつまでも借りているのは忍びないから、今回を期に自分のを買ってきた。紙とペンはこれから習う魔法陣の作成に使うとかで買った。紙は羊皮紙でかなり高かった。王都には安い紙もあるらしい。串焼きは鶏肉みたいでめっちゃおいしかった。宝石は魔力を蓄える性質があるらしくて、この世界では魔力の充電器代わりになっている。これはフェルさんへのお土産だ。

合計でJPY1'300'000.00(130万円)だった。金銭感覚がおかしくなりそうだ。ってか、デルタさんめっちゃ金持ちだった。


「フェルさん、これ。お土産です」

「おー、ちょうど持っている宝石も寿命が来ていたんだよ。ありがとうカズヤ君」


喜んでもらえて何よりだ。でも宝石に寿命ってあるんだな。

俺は渡すときに宝石に魔力を半分ぐらい込めて渡した。ちなみに俺の魔力光は白だ。


この日は帰ってきたから軽く魔力操作の練習をして終わった。


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名前;佐藤 和也 男 Lv40

職業;創世の魔法使い

体力;0

筋力;4000

俊敏;4000

抵抗;4000

魔力;999999999

魔抗;4000

固有能力:不滅 全属性適正 全属性耐性 全状態異常耐性 気配察知[熱源感知] 魔力感知 詠唱短縮 超高速魔力回復 魔法創造[効率上昇] 複合魔法 韜晦 魔力操作[魔力圧縮][魔力放射][座標設置] 魔力返還<血> 限界突破 言語理解


取得魔法:全属性魔法 元素魔法 破壊魔法 重力魔法 時空魔法 生成魔法 守護魔法 付与魔法 精神魔法 

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