第3話 初めての魔法

「ファイアーボール!!」


そう唱えると目の前に魔法陣が展開し、魔法陣に紅い光が集まってきた。そして魔法陣が発光を終わると、目の前には直径10メートルほどの炎の球ができていた。そしてぎりぎり視認できる速さで25メートルほど先の的に向かって飛来していった。的といってもでかい岩に絵の具のようなもので大小大きさの違う丸が書かれたものだった。

そして的に当たったと思ったら、的自体が塵すら残さず燃え尽き、背後にあった山の一部を消し飛ばし明後日の方向に飛んでいった。


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「今日はカズヤさんが初めての魔法の練習なので、初歩からやりたいと思います。フェルナンデスいいですか?」

「もちろん、構いませんよ。カズヤ君に合わせますよ」


何やら今日は俺に合わせて初歩の魔法からやってくれるらしい。なんて優しいんだろうか。


「カズヤさんもそれでいい?」

「はい、もちろんです。こちらに合わせてくれたみたいでありがとうございます」

「いえいえ、気にしないでください。これからのカズヤ君の生活に活かされるならこれぐらい」


デルタさんは何やら口を動かしていると


静寂サイレント空間フィールド


静寂サイレント空間フィールド。これは辺り一帯には音が漏れなくする空間を作るもの。夜の時も重宝できるもの。


「では、最初は『ファイアーボール』から始めましょう。サトウさんは『詠唱短縮』の固有能力スキルを持っていますが、初めてなので詠唱もしてみてください。そっちの方が失敗しにくいので」

「わかりました」

「じゃあ、フェルナンデス。やってみしてあげて」

「はい」


「赤き炎よ 我が手に集い 彼の敵へ飛来せよ ファイアーボール」


フェルさんの手から放たれた炎の球は、20メートルほど離れた的に当たり、少し焦げを作り、炎の球は霧散して消滅した。


「まぁ、こんなもんだろう」


フェルさんはドヤ顔しながら振り帰り、歯を見せた。太陽が後ろにあるのに歯がキラリと光って見えたのは多分魔法を使ったのだろう。


「流石はフェルナンデスね。次はカズヤさんがやってみて、詠唱を忘れないでね」


まぁ、フェルさんと同じようにすればいいか。

俺は右手を前に出し、詠唱を開始する。


「赤き炎よ! 我が手に集い 彼の敵に飛来せよ! 「ちょ、ちょっと待った!!」 ファイアーボール!!」


目の前にはありえないほど大きな炎の球が。


ここで冒頭に戻る。


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俺のはなったファイアーボールは的を消滅させ、的の背後にあった山の一部を消し飛ばし、明後日の方向に飛んで行ってしまった。デルタさんとフェルさんは口をパクパクさせながら鯉のようになっている。


(これはもしや、やっちゃった??」


「これって駄目ですよ-「「ちょっと黙ってて!!」」」


2人は庭の隅に走っていき、こそこそとヒソヒソ話を始めた。


そして話が一通り済んだらしく、こちらに向かって鬼の形相で迫ってきた。悪いことをしていない?はずなのに「ごめんなさい」と言いたくなってしまう。


「カズヤさん!私たちがあなたにできる手助けを何でもするので、どうかこの家に居てください。魔法もなんだって教えます!ですからどうかお願いします!!」

「カズヤくん。私からもお願いしたい。どうかこの家に居てくれ!頼む、この通りだ!」


デルタさんとフェルさんは二人同時に土下座をし始めた。なんとも綺麗な土下座か、こんなに綺麗な土下座見たことがない。まぁ土下座自体初めて見たんだけどさ。あははは。


「顔を上げてください。俺もここまでしてくれた二人に何かお礼をしようと思っていたので、こちらこそなんでもしますよ」

「「ほんとう?!ありがとう、カズヤ君(さん)」」


その日は、みんな精神的にも疲れてしまったのか魔法の練習は午前で終了した。


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あれから6ヶ月が経った。この世界の1ヶ月は一月30に換算だと、24ヶ月ある。6ヶ月ごとに季節が変わるのだ。

今はちょうど春と夏の移り変わりの時期、あと9日ほどで季節は夏に変わる。


あの山肌消滅事件(近くの都市ではそう呼ばれている)から、俺はデルタさんやフェルさんから色んな魔法を教えて貰ったり、固有能力スキルである『魔法創造』の研究等もしてくれた。


研究でわかったことは、普通の魔法発動に必要な魔力を二倍近く消費することで新しい魔法が作れるというもの。

これで俺は、大きくわけて8個の魔法を作った。

なぜ大きく分けたかって?それは1つ1つ細かく作るより大きく作った方が効率がよかったからだ。


ここ6か月でかなりステータスも上がった。


==================================================

名前;佐藤 和也 男 Lv32 

職業;創世の魔法使い

体力; 0

筋力;3200

俊敏;3200

抵抗;3200

魔力;99999999

魔抗;3200

固有能力:不滅 隠蔽 全属性適正 全属性耐性 全状態異常耐性 気配察知 魔力感知 詠唱短縮 超高速魔力回復 魔法創造 複合魔法 韜晦 魔力操作 魔力返還<血> 限界突破 言語理解


取得魔法:元素魔法 破壊魔法 重力魔法 時空魔法 生成魔法 守護魔法 付与魔法 精神魔法 

===========================================


こんな感じだ。新しく固有能力スキルに『複合魔法』というのも増えて、「ファイアーテンペスト」という火属性と風属性の複合魔法を作ったりしてまたしても盛大にやらかした。今度は山一つ消しちゃった、テヘペロ♪


デルタさんの固有能力スキルも今教えてもらっていて、あと少しで習得し終わる。ちなみにデルタさんのステータスはこれだ。


==================================================

名前;デルタ 女 Lv67  

職業;草原の魔女

体力;17000

筋力;1800

俊敏;500

抵抗;1800

魔力;5000

魔抗;5000

固有能力; 水属性適正 風属性適正 光属性適正 召喚魔法適正 生活魔法適正 創造魔法 魔力返還<光> 魔力感知 

===========================================


デルタさんに今教えてもらっているのは『創造魔法』。これがかなりチートで、フェルさんが本気でデルタさん相手に模擬戦をしても全く勝てそうにない。フェルさんも全然弱くないのに。

フェルさんのステータスも見てみよう。


==================================================

名前:フェルナンデス・フェルナ 男 Lv60 

職業;魔法使い

体力;16000

筋力;2100

俊敏;600

抵抗;2100

魔力;4500

魔抗;4500

固有能力;火属性適正 風属性適正 闇属性適正 召喚魔法適正 強化魔法適正 気配察知 魔力感知 魔力返還<食>  

===========================================


な?十分強いだろ?これでも全く歯が立たない『創造魔法』強すぎないか?


実際の所『生成魔法』の中に『創造魔法』は分類されるんだけど、使い方が難しすぎてデルタさんに教えてもらってる。


お!ちょうどデルタさんが『創造魔法』を使っているぞ。


神器創造クリエイトセイクリッド イージス」


フェルさんの放った『炎のフレイムジャベリン』がデルタさんの作った盾『イージス』に防がれ、霧散し消滅した。フェルさんは次の魔法の詠唱を開始しているが間に合いそうもない。


武器創造クリエイトウエポン 千のサウザンドソード


突如、空中に無数の魔法陣が出現し、『時空魔法』のゲートのように、魔法陣の中から鉄の剣が顔を出した。その数まさに千本。名前どうり。


空中に現れた千本の剣はフェルさんに向かって突撃し、頬をかすめ、足の健を切り、腕などにもかなり深い傷を負わせた。致命傷にならないのはデルタさんが調整しているからだ。俺にはまだ出来ないが。


「は~。やっぱり先生には手も足も出ませんね。

カズヤ君、回復頼んでもいいかな?」


俺はうなずくと、光属性『メガヒール』をフェルさんにかけた。


「お、おおー。いつ見てもカズヤ君の回復魔法はすごいな。痛みもスッと消えるし、後遺症も怪我の痕も残らないなんて、流石は創世の魔法使いというところかな?」


俺はデルタさんたちにお願い?されてこの家にいるようになってから、魔力操作などを鍛えるために回復や朝食などの火の調節など、全部俺が行っている。それのおかげでかなり魔力操作がうまくなった。もうファイアーボールで山の一部を消し飛ばしたり、ファイアーテンペストで山を一つ消し飛ばしたりはしなくなった。

それでも新しく作った魔法などは、魔力の配分を間違えて草原を更地にしたことは多々あったが、すべて『時空魔法』の時間逆流で直したり、『ディメンションフィールド』を使ったりして辺りへの被害を少なくしたりもした。


「カズヤ君。僕と模擬戦をしてみないかい?」

「え、今なんて言いました?」


別に本当に聞こえなかったわけじゃない。とっさに口から出てきたのだ。


「ぼ・く・と・も・ぎ・せ・ん・を・し・な・い・か?」

「あー、やっぱり。でも「カズヤさん、一回自分の実力というかを知るのもいいと思いますよ」そうですか?」


ってことで俺はフェルさんと模擬戦をやることになりました。




















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