第2話
早妃の不満をオブラートに包みつつ課長に相談を続けていたある日、課長が「美笑ちゃんは大丈夫なのか?」と聞かれた
何の事だろう?と思ったけど、よくよく考えると最近、早妃と話をしていない。それどころか挨拶すらしてない?って事に気が付いた。
千花ちゃんと早妃の間を取り持つ事で頭がいっぱいで矛先が自分に変わった事にすら気づいていなかった。
それからの早妃の態度はあからさまだった。そして何故か千花ちゃんと急に仲良くなり出した。
早妃は自分が常に優位に立っていたいせいかくならしい。相手が上司であろうと言葉巧みに自分の思い通りに事が進むようにしむけるのである。
ある日、支所長と早妃が掃除中に小一時間くらい会議室にこもり話し込んでた。
その後、課長が支所長に呼ばれた
さらにその後、私と千花ちゃんが課長に呼ばれた。
その内容は驚愕と言うか意味不明であった。
結論から言えば、早妃が副支所長の下につくと言うものだった。
でも、席も仕事内容も変わらず、上司が課長から副支所長になると言う。
そして課長はこう付け加えた「所属が変わったからと言って、知らん顔するんじゃなくて今まで通り接するように」と
早妃が配置転換を申し出たのだろう
それにしても腫れ物に触るような課長の態度に不信感を抱いた。
課長の指示通り、私は今まで通り接するように心掛けた。
でも、早妃からは完無視をくらった
「おはよー」と声をかけても死んだ魚のような目をして会釈される。
元気の無い早妃、いつも通りの私
他の人が見れば、まるで私が早妃を苛めて追い出したかのように映るではないか。
その後も早妃は悲劇のヒロインを演じ続け、同時に千花ちゃんとは仲良しアピール
朝、更衣室で早妃と千花ちゃんの談笑が聞こえてくる。私が「おはよー」と入って行くと早妃の表情は能面のようにさっと無表情になる。
私は課長に訴えた
「課長が今まで通りとおっしゃるので私はそうしてきましたが、今日まで完無視です。それでも私は今まで通りしないと行けませんか?」
「まぁ、今は彼女も色々病んでるんやろ。もう少し我慢してくれ」と言われた
その後も早妃の態度は酷かった
「私は仏さんでも神さんでもありません。耐えられません。」と課長に訴えても「今は耐えてくれ」と言うばかり、今はっていつまで?と思いつつ日々過ごした
きみさんと真悠子さんがいた頃は、昼食後に、お茶菓子を食べながらの談笑が楽しかったのに、早妃が配置転換を申し出てからは、昼食中も会話なし、昼食後も、皆が個々に飲み物を入れてスマホを弄ってる。何だかおかしな空気だけど、会話しなくて済むのはそれはそれで楽だから私もスマホの画面に目を落とす。
男性社員が時々来ると「コーヒー入れます?」なんて声をかけて皆で談笑してたのに…。
早妃がいそいそとカフェオレを入れる。皆で飲んでるコーヒーでは無く、早妃が自宅から持ってくるスティックのカフェオレを自分のカップと長野さんのカップに半分ずつ入れる。
長野さんは、うちの課の人じゃないけど、色々手伝ってくれる人
早妃が長野さんにカフェオレを差し出す姿に時々女をアピールしているようで気持ち悪いと思った。
次第に長野さんの分は早妃が入れるという暗黙の了解みたいなのが出来た。
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