第179話

 ・・・答えなんて、決まってる。だって、私も好きなんだから。

 私はまた溢れてきた涙を拭くと、

「っはい!これから、よろしくお願いします………っ!」

 笑顔で答えた。

 そしたら、また翔君が抱きついてきた。

 ・・・今さら思ったのだけど、翔君って意外と甘えたなんだね。明日から大丈夫かな、私。心配になってきた。

 まぁでもそれが可愛いから、いいか。




 ―――数分した頃。

「………桃香、顔を上げて?」

 翔君のお願いに、私は恐る恐る従う。すると。

 ちゅっ・・・とリップ音がして、また唇に熱が伝わった。だから、またキスされたんだと恥ずかしくなった。

 ビュンとかなりの早さで、彼から離れる私。その早さに、翔君はポカーンとしていて。

 少ししてから、ニヤリと意地悪く笑った。

「そっか……そんなに嫌だったか~……………。」

 ・・・と思ったら今度は顔を俯かせたので、私は慌てて彼のもとへと行った。そして、あと少しというところで。


 彼の腕のなかに、捕まった。


「ひゃぁっ!」

「引っ掛かってやんの~。ほい捕まえた。」

 ―――作戦に気付いたときには、すでにもう遅くて。

 けど・・・彼の、腕のなかにいるのが嬉しくて。とても安心して。

 なんか、どうでもよくなった。



 そのあと。

 心配してくれてた雪ちゃんに見つかり、二人揃って説教を受けた。

 その間、私たちは手を繋いでいたわけで。

 雪ちゃんは怒っていたけど、

「桃香、初恋成就………おめでとっ!」

 と祝福してくれた。

 その日はとりあえず、家に帰った。

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