第177話

「………最初は、雪乃の親友ってことで興味があった。雪乃とは幼馴染みだし小さい頃からの腐れ縁で、ほとんど喧嘩ばかりしてた。その分雪乃の兄貴たちから、たっくさん反撃受けてたけどな。」

 時折笑顔を見せながら、翔君は言葉を紡いでいく。私はその話の様子を想像しながら、じっと耳を傾けた。

「小学校に入っても、喧嘩するのは変わらなかった。家が近いし、帰りはいつも同じだったし。そんなときにさ、雪乃が話をしたんだ。最近出来た友達の話をさ。」

(………たぶん、私のことだ)

「それが……私、ですか。」

 一応確認してみる。

「あぁ。」

 頷く翔君。

「その話をしてる雪乃はいつも楽しそうで、毎日毎日話してくれた。耳にタコができるくらいな。」

「ふふっ、雪ちゃんらしいです。」

 爽やかな風が、教室を吹き抜けていった。


「そんな話をたくさんするから、その友達がどんな人か知りたくなった。まぁ今だからいうけどさ、あの相談………したいって提案したの、俺なんだよ。会って話がしたかったし、相談だってしたかったし。」

「そ、なんですか?」

 ・・・まさかの衝撃の事実。てっきり雪ちゃんの無理難題だと思ってたのに。

 けれど顔を赤くしている翔君をみて、ほんとのことなんだと納得する。

「うん。」


「………実際に会って、どうでしたか?」

 気付けば、無意識に質問していた。

 すると次の瞬間。

「そう、だな………。」

 と翔君が唸り始めた。

 いきなりのことだったので、少し驚く私。

「……えと。」

 声をかけても、まだ唸ったままで。とりあえず待つしかないと諦めるしかなかった。




 そんなこんなで数分。

 やっと翔君は口を開いた。

「第一印象は……小さく咲いた花、だった。小さくて、でもそれが可愛くて。一目惚れ………っていうのじゃないけど、君とまた会いたいなって。夜、一日を振り返ってそう思った。」



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