第176話

(……あ)

 不意に、聞きたかったことに気付いた。

「あの、聞きたいことが一つあるんですけど………今、大丈夫ですか?」

 とりあえず、まずは翔君に声をかける。

「聞きたいこと?」

 彼は首を傾げた。

「はい。ええと、なんで……その、好きになってくれたのかなぁ~……なんて………。」

 と質問をしたはいいけれど、なぜか目を背けてしまう。だって・・・まともに顔を見れないんだ、さっきから。

 なんていうか・・・恥ずかしくて?なのかな。また顔が火照ってきた。


 すると。

「え、えぇぇっ!?」

 今度は翔君が一瞬で赤くなった。あまりの早さに、目をパチッと瞬かせる私。

 そのままオロオロと慌てだす彼に、

「あ、あの~……?」

 私はそ~・・・っと声をかける。

「へ?あ、あぁ……えと、言わなきゃ………だよ、な?」

「え、えぇまぁ。言ってくれた方が私としても嬉しいかな……とは思います。」

「………そっか、だよなぁ~。」

 翔君は一度目を反らすと、私に目をあわせた。その真っ直ぐな目に、私はまたドキドキする。反らしたくても目を反らすことが出来ないくらい、彼の目は真っ直ぐだった。





 そして、彼は話し始めた。

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