第173話

 翔君からの―――好きな人からの、甘い告白。

 それが嫌だなんて思うことなんて、絶対にないと思う。むしろ私でいいのかとか、また不安に思ってる。

 ―――でも。『好き』って言われるのはこれで二回目だけれど、最初より今言われたことの方が、何倍も嬉しい。



 嬉しくて涙が出ちゃった。

 すぐに拭いたけれど、あとからあとから出てきて。止まらなくなった。

 それに気付いた翔君が、今度はオロオロと慌て始めた。

「え、え!?だ、大丈夫?もしかして、嫌だったか!?」

 そんな彼に、私はその手を取ってギュッと握り締めた。それに、ビクリと翔君の体が反応する。

「ごめ、なさい………大丈夫、です。」

「け、ど、泣いてるのは―――。」

「嫌とかじゃなくて。ええと……その、すごく、嬉し、すぎて………っ。」

 そう言うと、私は涙を拭って顔をあげた。それを見た翔君が、顔を赤くさせるのも気づかずに。



(……可愛くないかも、しれない……………だけど)

 どうしても、しっかりと彼には伝えたかったから。


 どうしても、笑って伝えたかったから。

 気付けば無意識に、ふわりと微笑んでいた。


 ―――これが、初めてで最後になるかもしれない告白。

 最初くらい、精一杯笑って言いたいと思うのは・・・ダメなことじゃないと、そう思うから。





 私は言った。

「私も、貴方が好きですっ。こちらこそ、よろしくお願いします…………!」

 と。

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