第141話 第三者side

 彼女はその答えを聞いた途端、悟った。

 ―――あぁ、私は彼女に負けたんだ・・・と。

 そうだと確証したのは、その時の翔の表情。彼は質問に答えた時―――・・・。




 誰にも見せたことのない、ましてや自分でさえも見たことがないとても優しそうな笑顔で、彼女を―――桃香を見ていた。




 桜子がそれ以上何も言わないと分かると、翔はゆっくりとその場を立ち去った。怪我をした、愛しの『桃の姫』を癒すために。

 あとに残された『妖精の姫』は、翔が見えなくなるまでそこに立っていた。そして、翔が見えなくなると―――

 失恋の涙を流し、崩れ落ちた。

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