第137話 第三者side

 ガラリ、と静は保健室の戸を開いた。

 それに気付いた保健室の先生が彼の方へと目を向けた。そして、目を丸くした。

「いらっしゃい氷我君。どうしたの………って、白井さん?」

「失礼します。白井さんが過呼吸を起こしたので連れてきました。」

 ぱたぱたとスリッパの音をたてて、先生が静の方にやってくる。そして、彼の腕のなかにいる雪乃に手をやると、

「………だいぶ落ち着いてるわね。今は意識がないようだから、ベッドまで運んでくれるかしら?」

 と言った。

 静は頷くと、近くにあったベッドに彼女を下ろした。そして、布団をかけた。


「ありがとう氷我君。助かったわ。」

 先生がにこりと笑う。

「いえ、白井さんのすぐ近くにいたので。」

 静は淡々と言葉を返す。

「そう……それで、何があったのか教えてほしいのだけど…………大丈夫かしら?」

「………そうしたいのは山々なんですが、少し彼女を見ててくれませんか?急ぎの用があって。」

「いい、けれど。」

「お願いします。また戻ったら、全部話をしますね。」

 静はそう言うと、保健室を出ていった。


 保健室を出て少ししたところで、

「……っ!…………!」

 叫び声が聞こえた。それに導かれるように、彼は向かっていった。






 そして―――彼は見た。

 怯えて尻餅をつく一人の女子生徒と、誰かを守るようにギュッと抱き締めている翔を。

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