第135話 第三者side

 それを見た翔は、

(………行かなければ………………っ)

 ―――考える前に、階段を勢いよく走り降りていた。



(間に合え、間に合え………っ!)

 ―――彼は願う。

 少しでも早く、彼女の元へ着くようにと。



 ―――彼は願う。

 少しでも早く、彼女を助けられるようにと。



 ―――彼は願う。

 少しでも早く、守れるようにと。





 ―――しかし。

 ゴミ捨て場に着いて、彼女の涙を見たとき。

 彼の視界はすぐ、白黒モノクロに染まった。





     * * * * *




 ―――一方のこちらでは。

 いまだに雪乃は、浅い呼吸を繰り返していた。深呼吸をしたいのに上手くできず、どんどんと焦っていく。周りにいる、

「マネージャー!マネージャー!?」

「白井、どうしたんだよ!?」

 という野球部のメンバーの焦った声も、だんだんと遠くの方に聞こえるように感じてきた。視界も、どんどんと狭まってきた。

 もう意識を消そうと、雪乃が諦めた時だった。



 彼が―――静が来たのは。

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