第129話

「………っ話って、なんですか。」

 体の震えが悟られないように、空いてる手で腕をギュッと抱える。それから、震える口で、何とか言葉を紡いだ。

 彼女―――苺坂さんはハンカチをブレザーのポケットにいれると、お淑やかに笑った。そして、

「話っていうほどのものはありませんの。」

 と話をしだした。


「……話じゃないのなら、部活に行ってもいいですか。」

 緊張して止めていた息を、静かに吐き出す。

 苺坂さんはまだ笑顔のまま、こう言った。





「駄目に決まってるわよ?だって……貴女へのわたくしの制裁が、今から始まるんだもの。」

 と。

 彼女の後ろにいた女子生徒たちが、ニヤニヤと笑いだした。

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