第128話
そのあとは何事もなく、放課後になった。
そしてHR. が終わると同時に、教室の中が騒がしくなった。彼女が来たみたいだ。
入り口に目を向けると、苺坂さんがこちらに来ようとしているところだった。
「……なんかあったら、すぐに連絡して?できるだけ早く、そこに行くから。」
雪ちゃんはそう言うと、部活へと向かって行った。
苺坂さんは私の机に来ると、
「それじゃあ、話ができる場所に行きましょうか。」
と腕を掴みながら言った。意外にも力が強くて、顔をしかめる。けれどそれを見られないように、私は頷いた。
私たちはクラスメートが騒ぐ中を歩きながら、教室を出ていった。
苺坂さんに引っ張られてついたのは―――
「っ。」
そう・・・あのゴミ捨て場だった。
夕暮れのせいか、はたまた陽が届いてないのかはわからないけれど、ここはいつ見ても不気味なくらい薄暗かった。そして、そこにはすでに、何人かの女子生徒が腕を組んで立っていた。ほとんどが鬼の形相で怖い。
彼女は私の腕を離すと・・・まるで汚いものに触ったかのような動作をした。つまり―――
私の腕を掴んだ手を、汚れを落とすかのようにハンカチで拭いたんだ。
(……っやっぱり、この子はあの人たちと同類、なんだ………)
ドクンドクンと、胸が嫌な音をたてる。この先に起きる前兆のように。
思い出す、あの人たちの言葉を。
思い出す、あの日やられた暴力を。
体の震えが―――止まらなくなる。
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