第130話
呆然と、私は今彼女が言った言葉を繰り返す。体の震えが、大きくなる。
「……制、裁…………?」
「えぇ!
彼女は笑顔のまま、残酷に言葉を紡いでいく。まるで、それを楽しみにしているかのように。
ゆっくりと、苺坂さんの後ろにいる女子生徒たちがこちらに近づいてくる。ニヤニヤ笑いのまま、目を鋭くさせたまま。
その光景は、中々の迫力があるもので。私は怖くて怖くて、後ろへと下がっていった。
「なぜ、貴女は逃げようとするの?今から面白いことが始まるのに。」
苺坂さんが無邪気に笑う。
焦る。体の震えが止まらなくて、でもどうすればいいかわからなくて。結局逃げることしかできなくて。
そんな風に考えてる今でも、女子生徒たちがこちらに寄ってくる。少しずつ、少しずつ。
トン、と体が壁にぶつかった。振り向くと、ぶつかったのは校舎の壁だった。
絶体絶命。今この瞬間、この言葉が当てはまった気がした。
逃げられないと気付いたのか、よりいっそう彼女たちは近づいてきた。
そして、一人の女子生徒が―――私の腕を掴んだんだ。
それを合図に、もう一人の女子生徒がもう一方の腕を掴む。そして三人目の女子生徒が前髪を掴んだ。
「いっ………!?」
人垣が割れて、真ん中に道ができる。そこを、苺坂さんが二人の取り巻きを連れてこちらへとやってきた。引っ張られる痛みと戦いながら、私は彼女をみた。
彼女は私の手前で立ち止まると―――
パァン!と頬を叩いてきた。
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