第125話

 告白が減っていってるっていう報告は、雪ちゃんから毎日聞かされていた。

 初めにそれを聞いたのは、あの嘘の『告白』から一週間後のこと。雪ちゃん曰く、

 ―――『あの人気者の泉川 翔が溺愛する彼女をつくった』

 という噂ができたらしい。で、実際に見た人たちが『あの子には敵わない』っていい始めて・・・そこから告白が減っていってるんだって。今ではもう、片手で数えるほどしかいるとかいないとか。まぁ・・・そうなるように、二人でやってたんだけどね。


 だって実際、翔君はこれでもか!っていうくらいに恋人っぽいことをしてくれたし。デート!・・・は難しかったけど、毎日の登下校とかその際のさりげない気遣いとか。うん・・・モテるって言われてるのがよくわかった瞬間だった気がするよ、あれは。

「や~っと、めんどくさい幼馴染みから解放されるのね~!」

 って雪ちゃんが叫んでたのを覚えてる。毎日毎日大変だったみたいだから、よかったなぁ。




 2月に入ると、少しずつバレンタインデーの話がちらほらと聞こえてきた。例えば、

「今年はあの人に渡すんだ~。」

 とか、

「チョコ渡すのと一緒に、ちゃんと告白する!」

 とか。

 そしてそれは私たちも例外じゃない訳で。

 朝から雪ちゃんが張り切ってる。今年はお兄さんたちと弟くんたち、それから好きな人に渡すんだって。

「へぇ~………。」

「もちろん、桃香にも渡すわよ~~~~~!」

「はいはい、ありがとね~。」

 雪ちゃんの手作りのお菓子・・・!バレンタインデーが楽しみですっ!





 ―――その時。

 教室の戸が開かれた。同時に、

「きゃーー『妖精の姫』ーーー!!」

「うわ、すっごく美人………!」

「『妖精の姫』がなんでここにっ!?」

 クラスメートが歓声をあげた。

 私と雪ちゃんがその方向を見ると・・・





 そこに、本当に妖精のようなお姫さまが来ていた。

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