第122話
―――夢の中に、翔君がいた。しかも、ふわっふわの羊の背中の上に。
猫みたいにトロ~ンとした顔をしてスヤスヤ眠っていて。その表情がとても可愛くて、でも隣で一緒に寝たくて私も羊の背中に乗った。すぐにトロ~ンとした顔になって、夢の中でも寝始めた。
パチッと目が覚める。いつも通り、布団の中にいた。
しばらくボーっとしてたけど、さっきの初夢を思い出して赤くなった。それから夢の中の翔君が可愛くて、ほんの少し笑ってしまった。
パジャマのまま部屋を出て、リビングに行く。
リビングにはすでに、おせちの準備が出来ていた。椅子に座っているのは奏人さん。キッチンでは椿姉がお雑煮を作っている。
すぐに、お雑煮ができて椿姉が持ってきた。奏人さんと椿姉に挨拶をして、私も椅子に座った。そして、
「「「いただきます。」」」
の号令と共に食べ始めた。
朝食のあとは初詣の準備。着物を着て草履を履いた。
椿姉は、名前の通り椿の花が刺繍された白い着物。帯は黒で、草履も白。
対する私はというと、名前と同じ桃の花が刺繍された紫の着物。帯は赤で、草履も赤だ。
初めてだったかは、椿姉に着付けてもらった。少し息苦しいけど、着物を着ることができたのはとても嬉しかったりする。ずっと憧れてたからね。
奏人さんは紺のコートを着てた。下は黒のズボン。暖かそうだ。
準備のできた私たちは、家を出ると近所のお寺へと向かった。
お寺で雪ちゃんと会った。雪ちゃんも着物を着てた。青の布地に白い花が刺繍されたもので、彼女にとても似合ってた。
雪ちゃんにも着物が似合ってると言われた。嬉しくて、柄にもなく照れてしまった。
雪ちゃんは家族皆で初詣に来たみたい。おばさんに挨拶をした。隣にいたおじさんにも。
皆で列に並んで、お参りをした。私は願った。
『今年も、たくさんの出会いがありますように』と。
お参りのあと、雪ちゃんとたくさんの話をして別れた。
そして―――冬休みが終わって三学期に入った。
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