第1話
「ほんとに異世界なんだよなぁ…」
彼はそう呟いた。彼の名は蒼井澪矢。現代でいう高校生に当たる年代だが、異世界に建造された魔術、武術を学ぶことができる学校を最年少で卒業。強さもずば抜けていた。
そんな彼が何をしているかというと…内職である。異世界の今の季節は冬。寒さに耐えるため現世の動物と同じくモンスターは冬眠している。やはり異世界なのでモンスターはいる。だがモンスターも動物。季節には抗えないのである。
「あー、暇だ……ん?外で何かのアナウンスか?」
「緊急!緊急!武装を身につけてギルドに集まってください!」
「もう1度繰り返します!部隊を身につけてギルドに集まってください!繰り返します…」
「よし、このままでも暇だし行くか…よっこらせ!」
異世界によくあるギルドももちろんある。澪矢は第15支部に所属している。第25支部まであり、本部との距離で配属される支部が変わるのがこの世界の常識だ。
ギルドの中ではパーティを組むことが許可されているが澪矢は組んでいない。ソロで活動している。因みに澪矢が住んでいる街はライトクランという街だ。
「えと…間に合ったかな?緊急ってなんだよ…」
「皆さんお揃いでしょうか!では要件を説明します!」
拡声器でギルドの担当が話す。拡声器は現世からもたらされたものだ。
「このライトクランに正体不明の部隊が近づいてきています!皆さんにはこれを迎撃してほしいのです!恐らく敵の数は50!現世の武器を所持している模様!」
「おいマジかよ…」「そろそろこっちにも慣れてきたってのに…」
そんな声が聞こえる…。そう思った矢先、誰かが声を上げた。
「しっかりしろ!この腰抜け共!これだから現世から来た奴らは生温いんだ…!貴様らは下がっておれ!」
「そんなこと言ったって…」「また奴がでしゃばり始めた…」
その"奴"とはワイザスという男だ。ワイザスはギルドで1番の実力派パーティのリーダーだ。恐らくギルドのドンとも言っていい存在である。今回の迎撃の際にもリーダーなのだろう。
「これから迎撃準備を始める!腹の決まった奴しか来るんじゃねぇ!」
こんな言葉を聞き、パーティ組んでないからわからないけどそれは言い過ぎなのでは?と思った澪矢の考えは一瞬にして砕け散った。
「なあ…帰ろうぜ」「そうするか」
こんな会話が周りで沢山巻き起こったのだ。5分もすれば異世界組以外殆ど居なくなった。現世組で残っていたのは澪矢と、そしてパーカーのようなフードを被った人物だった…
「あなた、強いでしょ?」
「は?」
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