試行錯誤その四(多分ラスト)。
コンテスト前に、あんまりネタバレするのもどうかなーと。こんばんは。木元です。
前回、2,400文字をオーバーしても、引きが作れなかったと書いていた第3話(予定)ですが、さっき書き上がったので丸ごと貼り付けてみます。文字数は2,052文字で、結構絞れた気分ですね。多分まるごと1話分を貼るのはー。――今回がラスト。全話貼っていく訳にもいきませんしね。続きが気になった方は……。私の12月からの活動を、お楽しみにィ(露骨な宣伝ですね)! 多分冒頭の3話は、ここで公開したままの内容で行きますので。
では、貼ってみまーす。
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相川の疑問に、俺は答える。
「だって実際に、調査されてるじゃん。『
「寄付金を無駄遣いしてる人達でしょ」
相川は僅かに眉間に皺を寄せたまま、少し尖った声で言った。
団の支部が無いこの町は、正直言って僻地である。海路も、陸路の馬車も、一日にごく限られた本数しか出ておらず、町という形を保つ為、最低限の生産しか行われていない。
俺は覗き込んだまま、相川に尋ねる。
「嫌いなの?
「お金の無駄」
相川は目を伏せると、摘まんだままだったページを離した。眉間に皺を寄せるのを堪えようとしているが、ぐっと力んだその表情は、余計に難しい顔に見える。
相川は、一際眉間に皺を寄せると、ぱっと力を抜き、いつもの読めない無表情に戻ると目を開けた。
「――そんな事に使う余裕があるなら、周りの小さな町に配ればいいのに。生活の水準に差があるのは、不平等だと思う」
「ええつまりお金下さいってぇ?」
「この町は、自給自足出来てるからいい。もっと小さい所」
「ああ成る程ね?」
俺は納得すると、腕を組む。
可愛い顔して、めちゃくちゃ図々しい事言うなと思ったら。
相川は、開きっ放しの本の手前で、手を組むと言う。
「その、灰越の調査団だって、おとぎ話がきっかけで始まったって言うじゃない。どこの地域でも、共通して語られるお話があるから、その理由は何だろうって調べ始めたのが始まりだって」
「よく知ってるじゃん」
「
「あー……」
苦笑を返した。
俺は腕を解くと、再び背凭れに頬杖をつきながら身を乗り出す。
「――でも、もしこの世界にかつて、別の顔があったとしたらさ、ワクワクしねえ?」
「しない」
「……じゃ、じゃあ、不思議だと思わねえ? どこに行っても同じおとぎ話が、語られてるなんて」
「“白いお姫様と黒い騎士様”のお話の事?」
相川は、平淡に答える。
もう表情は完全に無で、いつものミステリアスな美人さんに戻っており、淡々とそのおとぎ話を語り出した。
「……“かつてこの世界には、白いお姫様と、黒い騎士様が暮らしていました。毎日幸せでしたがある日、白いお姫様と黒い騎士様が暮らしていた国は、隣の国と、戦いになってしまいます。白いお姫様と黒い騎士様は、戦いを終わらせる話し合いの為に戦地へ向かいましたが、隣の国の人々は、聞き入れてくれませんでした。やがて戦いは、誰にも止められない程の大きな渦となり、世界を壊しそうになってしまいます。破滅に向かう世界を憂いた白いお姫様は、最早この戦いは、世界の歴史ごと終わらせなければ解決が出来ないと、自分の命と引き換えに、世界に雪の魔法をかけました。だからこの世界は、常に厚い雪雲に覆われ、真っ白い雪と、硬い氷に閉ざされるようになったのです。二度と世界に、争いが満ちないように”……。こんなお話のどこに、現実味があるの?」
「おー。
周りの迷惑にならないよう、ぱちばちと控え目な拍手を送る。周りも何も、さっきから図書室には司書さん以外に、俺と相川しかいないんだけれど。
「これぐらい、誰でも言えるよ」
「美人の口上が聞けるのは嬉しいもんさ」
「ふうん」
「でさあ、何でこんなおとぎ話が、世界のどこに行っても聞けるんだろうって気にならねえ?」
「ならない」
「何で? 不思議じゃね?」
「どこに行っても毎日雪だから、後付けで誰かが作ったんじゃないの。
「…………」
取り付く島も無い様子に、思わず笑顔が引き
俺は肩を落とすと、思わず心から口にした。
「……夢が無えなあ。相川あ」
「毎日平和に暮らせれば、それで満足だから」
「…………」
無欲と言うか、日々の暮らしへの感謝を忘れない、よく出来た女の子と言うべきなのか。
「お前って真面目ー……」
「ありがとう」
「いや、喜んで貰えたなら嬉しいけどさ……」
ぶっちゃけなくても誉めていないし、そんなに素直にお礼を言われると戸惑う。
「あっ、そうだ」
下がってきたテンションを上げるように、思い出した俺は声を上げる。
その間に読書を再開していた相川へ、前のめりになると続けた。
「お前に用があったんだよ」
相川は右手で髪を耳にかけながら、尋ねるような一瞥を俺へ投げる。
やっぱりピアスでゴテゴテになっている右耳が気になるが、また後で訊いてみよう。実はピアスのデザインが、結構好みで気になっている。
まあそんな事はいいとして。
「期末テストも終わった事だし、ちょっとデートしようぜ」
また文字を追い始めていた相川は、顔を上げると俺を見た。
「んっ――えっ?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
軽量化はもう慣れですね。書いていて思いました。ただ数をこなして、覚えていくのみ。まだまだぎこちなく感じている部分はありますが……。5パターン+2話も書いてみれば、ちょっとはましになってきた気がします。疲れた。
まだ第4回カクヨムコンまで時間はありますが、こんな感じに書き始めようと思います。『迷妄終末ロックンロール』も書きたいのですがー……。暫く不定期更新という事で。ある程度書いてから、纏めて更新する形になると思います。多分。
では今回は、この辺で!
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