第10話 スーパーで

電車に乗り、商店街からアパートの最寄り駅まで戻ってきた二人。


駅の近くのスーパーで晩御飯の買い物をして家まで帰ります。



買い物カゴをカートに乗せた凌はハルに問いかけます。


「ハルは何食べたい?」



少し考えてからハルが答えます。


「そうですねぇ…私は昆布巻きに、栗きんとんですかね!凌さんは?」



「俺は数の子だね!俺はたくさん食べるよ数の子を!それも狂ったようにね!」



「そ、そうなんですか。少し怖いですね…」



楽しそうに話しながらカートを押して歩く二人ははたから見ればどう見ても若いカップルです。



しかしまぁ、端的に述べるならば実際は主と使い魔みたいな関係ですが…



カップルさながらの二人は

食べたい物をカゴに入れながらスーパーを周ります。



買い物の途中、お肉コーナーの前に差し掛かった際

お肉を選んでいるエプロン姿の主婦に若干の違和感を覚えながらも気にせず買い物を続けます。




お菓子コーナーでハルが凌に訪ねます。


「あっ、凌さん凌さん!これはなんなのですか?」



「あー、これはあめ玉だよ。

ハルの知ってるのはビー玉…じゃなくて、硝子玉みたいなやつだよね!


これはそれにただ棒を突き刺しただけの物だよ。

手で持って食べられるようにね!」




「ただ棒を……言うのは簡単ですが、あめ玉に棒を上手く突き刺すのは至難の技なのでは?…」


納得のいかなそうなハルの顔を見た凌は微笑みます。



「それも買って行こっか!」



凌はそんな何処にでもあるありふれたやりとりに幸せを感じ

ハルも同じ事を思ってくれているだろうか?などと考えています。



要は浮かれています。



その余韻を残したまま二人はレジへ。



ちょうど晩御飯前の時間帯ともあって

3つあるレジにはそれぞれ5人ずつ程お客さんが並んでいます。



そのうちの一つに並んだ二人。


流れに任せ会計を済ませた後

袋詰めのための台までカゴを運んで行く凌。



台には先客がいたので「すいません。」と小声で挨拶をしてスペースを少し譲って貰います。


軽く会釈をした際、隣のお客さんの顔に目がいきます。




と、言いますか

隣のお客さんの角に目がいきます。




目を合わせ互いに


「あっ、」


と一言。




出ましたサタンです☆


エプロン姿の主婦っぽいサタンです。


どうやら先程お肉コーナーで凌が違和感を感じた主婦はサタンだったようです。


どうりで違和感があるはず。

だって角が生えてるんですもの。 



でもどうしてこんな所で買い物をしているのでしょう。


てか、なんでエプロン姿なのしょう。



と、まぁ

思うことはいろいろとありますが

しばらく放置していたことをひとまず謝る凌。


「バイト向かわせたまま放置しててごめん。

あっ!そういえば、お前も消えてなかったんだ。


お前を召喚した魔方陣、ア○パンマンになってたからさ…

もしかしたら魔方陣の効果がなくなって魔界に帰ったのかもって思ってた。」




「あぁ、魔方陣でしたら既に1日経っていますので

確かに効果はなくなってしまいましたね。

正確には召喚から20分でもう効力はありませんが。」



「えっ!お前魔方陣に詳しいの!?」



どうやらサタンは魔方陣について何かしら知っている様子です。



いまいち状況を把握していないハルが、会話を続ける二人に割って入ります。


「あっ、あの。凌さん、このお方は?」


会話に夢中になってしまった凌は一旦冷静になりハルに説明します。



「ごめんごめん。こいつが前話したサタンだよ!」



そしてサタンにハルを紹介します。



「この子はハルって子で、いろいろあってしばらく家にいることになったんだ。


お前と同じで俺の召喚に応じてくれた子。


もう一度言うぞ?俺の召喚に応じてくれた子。」



たまたまではありますが

一応、二人?召喚に成功している凌なので得意げです。


得意げなので、大事な部分は二回言います。




スーパーでまさかの再会を果たした凌とサタン。


この再会によって魔方陣の謎は無事解明されるのでしょうか。

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