第20話


次の日。

真彩は普通に出勤した。

枝理は微かに心配そうにはしていたが、普通に仕事する真彩をみて安心したのか、いつもと変わらない状態になった。


「真彩。帰ろう。」


「ごめん。また掃除頼まれちゃった。」


真彩はまたホウキなどの掃除道具を持っていた。


「…手伝うよ。それが真彩の良いところだもんね。」


「…ありがとう。」


「何?嬉し泣き?」


「枝理。大好き。」


「あぶなっ。飛びつくな。転けるでしょ?…私も真彩のこと大好き。」


掃除が終わり着替えて、いつもの帰り道。


「あっ。枝理。クリスマス駄目になった。」


「何か予定入った?」


「真山さんがちょっと付き合って欲しいって言われたから。」


「そっか。気を付けてね。」


「うん。」


真彩は急に立ち止まった。


「真彩?」


「枝理。私…変わりたい。2人が隣にいて恥ずかしくないように変わりたい…。待っててくれる…?」


「当たり前でしょ。真彩がそれが良いって決めたなら死ぬまで待ってるよ。」


真彩は初めて枝理の前で涙を流した。


「どした?」


「本当は怖かったの。枝理がいつか離れるんじゃないかって。」


「何でそうなる?」


「だって…」


「真彩。私ね。真彩カッコいいと思うよ。」


「…え?」


「学生時代はずっと虐められてきた。社会人になっても真彩は根が真面目だから、すぐ主任になって古株から嫌がらせが酷かった。そして病気にもなった。家庭もそこまで素敵な家庭じゃなかったけど戻ってきた。私達の力じゃないよ。真彩が…真彩だから出来たの。私なら絶対出来ない。」


「そんなことないよ!枝理に何かあったら飛んでいくもん!虐められてたら殴ってやるもん!」


「でも真彩はそれを嫌がったでしょ?」


「だって…枝理がいじめられるかもって思ったから…。」


「うん。良いんじゃない?真彩はそれで。真彩が出来ることで私を助けて。私が出来ることで真彩を助ける。それで良いじゃん。」


「うん!!」


「先輩との2人で行くの?」


「そう。枝理はって言ったらクリスマスだしって。」


「あー。そっか。」


「先輩に何か言った?」


「何にも言ってません。」


「私も先輩に言いたいことあったから良かったんだ。」


「そっか。気を付けてね。ちゃんと女の子らしい格好するんだよ?」


「良いよ。寒いし。」


「しないと絶交。」


「やだー。寒い-。」


「真彩。」


「分かった。」


2人は久しぶりにゆっくり他愛ない話をすると帰って行った。

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