第17話


「真彩。あんた足早すぎ。」


枝理はやっと真彩に追い付きはしたが息を切らしていた。


「気付かれたかな?」


「分かんない。真彩を追うのに必死だったから。」


「ごめん…。」


「真彩。告れば?」


「何でよ!」


「やっぱり何か気にしてるでしょ?とりあえず休憩しよ。」


2人は近くにあったカフェに入った。


席に座るなり、真彩の携帯が鳴り見てみた。


「誰?」


「真山さん。」


「なんて?」


「何かまた悩んでんのか?って。」


「あの人鈍感だったの!?真彩もだけど。」


「そこで私も出す?」


「真彩の鈍感は真似できないよ。高校の時、仲良く話してた男子。」


「名前忘れたけど。」


「誰がどう見ても真彩のこと好きだったよ!?」


「それはない。」


「何でよ。」


「普通の話しかしてなかったもん。」


「真彩さ。」


「何?」


「自分のことモテるの分かってる?」


「?モテないよ。」


「あー。しばきたい。」


「何で?」


「もう辞めたけどバイトの中山。」


「…誰?」


「レジに居た黒縁眼鏡の大学生。」


「あー。」


「駄目だ。てか。先輩のメール無視してたの!?」


「そんなつもり無かったんだけど。返信しなくても大丈夫なメールだったし。」


「アホか。今のはちゃんと連絡しな。」


「どうやって?」


「自分で考えな!ちょっとトイレ!!」



「失礼します。カフェオレです。」


「ありがとうございます。」


嬉しそうに携帯を眺めながら返事をした。


「…真彩?」


真彩は声に驚き、携帯を机に落とした…。


「…ど…して?」


「幸せそうだね。安心してよ。何もしないからさ。あれから素敵な人が出来たみたいだね。真彩みたいな子を受け止めてくれるなんて凄い人だね。迷惑だと思ってないと良いけど。」


それだけ言うと相手の男性は裏方に消えた。


しばらくして枝理が戻ってきた。


「真彩!?」


真彩は顔が真っ青になり、汗を掻いていた。


「とにかく病院行こう!!」


意識がこちらにないような雰囲気の真彩。

慌てる枝理に先程の店員が出て来た。


「お前も居たのか。」


「…あんたっ…。行こう。真彩!!」


枝理は相手をみて状況に気付き、お金を多めにおいて店を出て駐車場まで歩いた。


「ごめん。真彩。」


真彩は抜け殻のようになってしまっている。



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