第16話
「気にするなら聞けば良いのに。」
「そこまで親密な仲じゃないし。」
2人は少しの会話を交わすと帰って行った…。
次の日から真彩は短時間の出勤を始めた。
1ヶ月ほどして大丈夫そうなら通常出勤し、前の主任に戻るようだ。
朝から昼間で出て、枝理と昼休憩をして帰る。
変わらない日々。
真彩は精神的にも大分、落ち着いていた。
季節は冬…。
少し遠い駐車場までの帰り道。
「最近寒いよね。」
「同感。」
「もうすぐクリスマスだし。今年どうする?去年は出来なかったけど。」
去年、真彩はちょうど手術後の安静期。
あれから1年近く経っていた。
通常勤務に戻り、相変わらず忙しい日々。
3人で遊ぶ回数も自然と減っていた。
「うーん。」
「あっ。真彩。明日休み?」
「うん。」
「買い物付き合って。新しいコート欲しいんだ。」
「良いよ。」
「先輩も最近忙しいの?」
「何で私に聞くの?」
「連絡取ってるかと思って。」
「最近は取ってない。」
「何で?」
「何か取りづらい。」
「まだ精神的なの残ってるから?」
「そう言うわけじゃないけど…。」
「私に遠慮してるとか?」
「枝理。好きだったの!?」
「そんな訳ないでしょ。」
「本当に?」
「先輩はただの男友達。それ以上でも以下でもないの。」
「そっか。」
「素直になれ。」
「うん…。」
真彩は何処かでまだ止まっていた。
2人は明日の約束をして、帰って行った。
次の日。
「おはよう。真彩。」
真彩はあれから夜も引退して、実家に戻っていた。
「今行く-。」
真彩は枝理の車に乗り込み、少し遠い所へ行った。
「真彩。どっちが良いかな?」
「こっち。」
2人で服を選んだり、ウインドウショッピングをしたり。
「なら、こっち買おう。」
「それ逆じゃん。」
楽しそうに笑い合う。
「あれ?久しぶり-!!!」
遠くから手を振る男性が見えた。
2人は自分達のことと思わず買い物を続けていた。
「おい。」
後ろから肩を組まれビクつく2人。
「先輩!?」「真山さん!?」
「久しぶりって言ってんのにスルーかよ。」
「遠くて誰に振ってるのか分かりませんよ。真彩も私も目悪いし。」
「あー。そうだっけ?」
「何してるんですか?」
「前の仕事場の人達と忘年会。」
「あー。ご苦労さまです。」
「あっ。どっちかの車?」
「一応。」
「乗っけて。」
「嫌ですよ。お酒臭い。」
真彩は夜を辞めてからアヤの仮面が被れなくなっていた。
赤面して下を向く真彩。
「佐原。体調どう?」
「大丈夫…です。」
「なら良いよ。最近、メールしても返さないし何かあったかと思った。」
「…忙しくて。」
「そっか。ごめんな。」
真彩は下を向いたまま首を横に振る。
赤面するのは話していたので平然とする伸也。
「もうすぐクリスマスだしデートの買い物か?」
「そんなところですよ。先輩こそ良い人見付かりました?もうすぐアラサーですよ。」
「うるせーよ。」
「あっ。はぐらかした-。怪しい-。」
「はいはい。」
「伸也-。行こうよ-。」
「今行く-。」
遠くから綺麗な女性が伸也を呼ぶ。
行こうとする伸也の袖を掴んでしまった真彩。
「佐原?」
「ごっ…ごめんなさい!!」
自分でも驚いて走っていった。
それを追いかける枝理。
鈍感な伸也は対して気にもせず、メールだけ打ちながら戻った。
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