第14話


「見付からなくて良かった。」


「…真山さん?」


伸也は木の陰に隠れて話を聞いていたようだ。

バレないように出て来たつもりが真彩が近くに居た。


「ごめん!すぐ帰るから!」


「話しませんか?」


「…大丈夫?」


「枝理のおかげで少し落ち着きました。こんな私に感謝して頂けてる方も居るみたいですし。」


「…それ…俺。」


「はい?」


「佐原に感謝してんの。俺。」


「真山さんが?私、何かしましたか?」


「この間も言ったよ。変わらない綺麗な芯だって。俺さ。この見た目だから外見付き合いしか出来なかったんだよね。若干、人間不信みたいになってて。」


「…はい。」


「中学の時、佐原が俺に言ったんだよ。“私みたいな考えを持ったヤツなんてごまんと居る。まだ親からしたら産まれた子羊同然なのに何やってんの?”って。」


「…すいません。」


「感謝してんだよ。キャバ行って話した時も変わってなくて、もっと話したいって思った。」


「キャバ?…すいません。アヤの時は適当にしか答えないんで…。」


「あのさ。最近話した内容くらい覚えておこうよ。」


「…すいません。」


「良いけど。それがきっと佐原の良いところなんだよ。」


「ありがとうございます。」


「ところで1つ。」


「はい。」


「たまに会うと無言だったり無視したり。けど2人の時なら話す。なんで?」


「…。」


「話したくなかったら良いよ。」


「言っていい言葉と悪い言葉が分からないからです。」


「どういうこと?」


「私、直球にしか言えなくてオブラートに包むとか出来ないんです。」


「だろうね。」


「でもアヤの時だけとか、2人だけの時だと集中したら良いのは1人なんで。」


「大変だね。」


「逆に失礼なこと言ってたらごめんなさい。」


「あんま気にしないよ。」


「ありがとうございます。」


2人は笑い合った。


「真彩!!生きてるよね!?」


枝理が息を切らせながら走ってきた。


「先輩!?探し…」


「枝理。ありがとう。」


真彩は枝理に向かい微笑んだ。


いつもとは少し違うが、何かを心に残して笑っている。



それから3人は真彩の家で夕飯を食べ、色んな話をした。


たまに3人でご飯やお茶をする約束もして、普通の友達のように。


真彩は半年は安静にしたいと言ったので遠くに行くことは叶わなかったが、2人が良く会いに来てくれた。


特に話すこともなく、あの公園でボーとしてるだけの日もあれば、枝理や伸也の話を聞いたりする日もあった。


でもあの日以降、真彩は自分の話はしない。

いつものことだからと気にしない反面、枝理は前より気を使うようになった。


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