第12話


枝理は伸也を呼んだ。


「私が知る限りでは真彩は早々、他人を綺麗とか言わない。それを思うと…。」


話ながら伸也に目をやった。


「真山さん!?」


「へ?何?」


伸也は話を聞いていなかったので、いまいち

状況が読み込めていない。


「姉を助けてもらえませんか!!?」


「姉って…。」


「真彩の方です!!」


「とにかく行こう。先輩は?」


「状況知らないのに行けないよ。」


「とにかく一度移動しながら話そう。一応、ここ他店の駐車場だし。」


「…はい。」


3人は車を枝理達の勤めるスーパーに移動させ、弟の車に2人が乗り込んだ。


「真彩は元々うつ病やってたの。今は大分マシになったけど、色々あって簡単に立ち上がれなくなってた。」


「色々って…?」


「弟も知らない話。本当は真彩の許可なく話したくなかったけど…。逃げないって約束して。」


枝理の目は真剣で2人は静かに頷いた。


「…一番始めに付き合った彼氏さん。DVだったんだよ。性的にも精神的にも。暴力までは軽くはあったかもしれないけど、そこまで酷くはなかった。でも仲間とレイプまがいな事したり、真彩を監禁してた。連絡だけは取れたから。私の兄貴が警察でしょ?だから助けに行ったの。別れてしばらくしたら相手は色んな罪で捕まった。」


「それを恐がってんの?」


「もう居ないから、それはない。」


「心の傷ってヤツ?」


「誰でも初恋は忘れられないでしょ?」


「あっ、ごめん。」


「しばらくはカウンセリングとか行ってたんだよ。それで大分落ち着いてた。でも他にも適応障害引っかかるし、今回のこと…。」


「…。」


「陽性ではあるけど子宮頸ガン。摘出は出来たんだよね!?」


「はい。子供も産む事は出来ますが、それまでの課程が厳しいかもしれないそうで…。」


「聞きに行ったの?」


「病院から電話来たんです。元々近況とかは連絡取ってたんで。」


「そっか。」


「行こう。話してくれたなら俺も話すよ。」


「ありがとうございます。」


真彩の実家に向かう中、伸也は真彩への感謝の理由を話した。

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