宗教改革

 あー、とうとうこのターンに突入しましたね。宗教改革。宗教改革と梅毒の蔓延の二つの要因は、十五世紀から十六世紀のヨーロッパのおセッセ観に大きな変化をもたらしたそうです。そのため、娼婦たちへの統制がますます強まっていったと。


 みなさんご存じのとおり、プロテスタントは聖職者でも結婚できます。プロテスタントの生みの親とも言えるルターは、結婚を禁じるという考えは悪魔が原因になっていると語っていたそうです。

 曰く、禁欲は神が示したもうた他の脅威や恩寵と同じく人間の力の及ばないものであるから、耐えられる者もいれば耐えられない者もいる。で、万一純潔を守るのが善行であったとしても、救いを得るために必要なのは信仰であって善行ではない、と。ただ、ルターもだからといって結婚をしさえすればどんどんおセッセしてOKとは考えていませんでした。

 ルターにとっての結婚とは、病人に対する薬か病院のような、どんな男も悩まされる肉欲を癒したり消したりするためのもの。男が結婚するのは飲み食いと同じくどうしても必要なことだからで、とはいえ節度はきちんと守らなければならない。と、彼は考えていたのです。他の改革者も、まあ大体はこんな感じの思想を抱いていたそうです。たとえばカルヴァンは、節度を守る限りは夫婦間のおセッセを楽しんでもOK! としていたそうな。

 ちなみにルターとカルヴァンは、女性と言う存在の認識についても多少違いがありました。カルヴァンは女性を男性の人生に無くてはならない協力者、ルターは女性を男性の性欲を満足させ子供を産むために神が与えた道具だとみていたそうです。

 ちなみにルターが離婚をどのように認識していたのかというと、最初は離婚に反対していたそうです。それぐらいなら、たとえ妻の他に女ができたのだとしても、重婚や妾として囲うといった手段を採った方がいいと。ただし相手が姦通を犯した場合や家庭を顧みない場合、もしくは配偶者の宗教生活に干渉する場合などは、離婚を認めるようになったのだとか。


 このようにプロテスタントはカトリックよりも純潔を重んじなくなったのですが、だからといってそれはやりたい放題を許すということではありませんでした。むしろ、乱れた性関係については遙かに厳格な態度を採ったのです。では、誰が男を乱脈の道に引きずり込むのでしょうか? 答えはそう、娼婦ですね! 

 事実ルターは、必要悪としての売春を認める考え方を批判しています。カルヴァンも、自分が宗教改革を行ったジュネーヴから娼婦を追放しています。どころか、カルヴァン期のジュネーヴはダンスも芝居見物も派手な服を着るのも駄目。過度の飲酒も駄目という、信仰の街へと変貌しました。うーん、息が詰まりそう。


 ところで、プロテスタントの動きに対応するかのごとく、この時期のカトリック の性道徳にも多少の動きはありました。が、プロテスタントの宗教改革者が提起した諸問題に対応するために開かれたトリエント公会議では、売春については議題に登らなかったそうです。結婚の神聖な意義と禁欲の重要性が再確認されたそうなのですが。

 またトリエント公会議では、放埓な生活を取り締まるための一連の布告も出され、独身男性が娼婦と致すことは極めて重い罪に該当されました。教会から中止されたにも関わらず女性と生活し続ける聖職者は、その地位から追われると決定してもいます。が、ローマ教皇が懸命に売春を無くそうとする一方、ローマの役人はせっせと娼婦からの税金を取り立てていたそうです。

 今回はこれで終わり。次からは梅毒について述べていきます。

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