9.5章:俺の知りかけた物語だった件
四月(中) Let's search for harem.
◆
オレ、
通い始めて一週間ちょっとが経ったけどクラスの雰囲気は良い感じだし、茶髪っぽい地毛のお陰で自己紹介の掴みもバッチリ! 元野球部同士、話が合う友達だってできた!
だけど今、オレには物凄~~~~く深刻な悩みがある……。
「おっぱいが揉みたいっ!」
「また唐突だなー」
「野球部時代にやってた筋トレだって自分の脱いだジャージの胸部分に友達のジャージを仕込んで、おっぱいに顔を埋めるパフパフ式腕立てとかにしたっしょ?」
「あー、確かにやってる奴はいたわー」
「メロンパンも、クリーム大福も、シュークリームも、ピザまんも試したし、布団の角に触ったり、自分のふくらはぎとか尻を揉んだり、水泳キャップに水を入れて揉んだり、水風船とかも使ってみたけど、どれもこれもしっくりこないんだよなー」
「試し過ぎじゃねー? そこまでするなら、おっぱいマウスパッドとか買えよー」
「そんな物を買うくらいなら、オレは本物のおっぱいを揉みたい!」
「確か時速60キロだか80キロだかの状態で車から手を出すと、おっぱいの感触と同じになるっていうのを聞いたことがあるよなないような…………」
「時速60キロだ! Dカップのパイ圧は約88パスカルで、時速60キロの風圧も約87パスカル。ただしこれはおっぱいを0.5センチ押し付けたときの圧力だぜ!」
「詳しいなー」
「それを聞いたオレが実践しようとしたら、馬鹿野郎と親に思いっきりぶん殴られて死ぬほど説教された。感触としてもいまいちだったし、絶対止めておいた方がいいぜ!」
「そりゃそうだろー。どう考えても危ないし、対向車が来たら腕が千切れてたぞー」
「じゃあオレは一体どうやったらおっぱいを揉めるんだっ?」
「そう言われてもなー。彼女ができたら揉ませてくれるんじゃねー?」
中学生の頃からずっと、疑問に思っていた。
どうしてオレには、毎朝起こしに来てくれる幼馴染がいないのか。
勝手に部屋に上がり込んで布団を強引に引き剥がし、朝勃ちを目の当たりにして「キャーエッチー」なんて叫ぶツンデレ巨乳美少女の幼馴染がいてもいいのに!
もしくは「あー遅刻遅刻」とか言いながらパンを咥えつつ衝突してくる、ドジっ娘パンチラガールがいてもいいのに! そしてうっかりオレのモノを咥えてもいいのに!
「透ー。お前ってさー、江口さんのこと好きだろー?」
「モチのロン!」
「いやいやー、見てたら分か……って、隠そうとしないのかよー」
「まあもう振られたけどな!」
「はい……?」
「先週の金曜に告ったんだけど、あっさり振られちまったぜ!」
「ちょ……ちょっとタンマ……学校始まって、まだ一週間だぞー? もう告ったのかよー?」
「同じようなこと言われたけど、恋に時間とか関係なくね?」
「やべーわー。何か恰好いいこと言ってるわーコイツー」
そう……オレは何としても彼女が欲しい!
この高校生活を充実させるため、女子と共に過ごす毎日を送りたい!
「ってか、振られても全然落ち込んだりしないのなーお前ー」
「傷ついた心は握手会で癒してもらった!」
「あー、成程なー。ってかてか、その追っかけてるアイドルの子がいるなら何で江口さんに告白とかしたんだよー?」
「それはそれ。これはこれっしょ。それに江口さん、かなり良くね? おっぱいでかいし、太股ムチムチだし、ちょっと馬鹿っぽくて抜けてる感じとか最高だし、そもそも苗字からしてエロそうな雰囲気だし、ガチのマジでドストライクだったわ!」
「あー、とりあえず全国の江口さんに土下座しとけー?」
しかし元々は向こうから声を掛けてきたから脈ありだと思ったのに「まだお互いのことをよく分かってないから」とかマジで意味がわからん。そんなのこれからいくらでもわかるし、何ならオレの身長、体重、趣味、特技、性癖の全てを教えたのにな。
「それにクラスにいる女子の九割は可愛いし、問題なんて全然ナッスィン!」
「九割ー? 一割の間違いだろー」
「いやいや、オレのストライクゾーンには九割入っから! 告白とかされることがあったら、ほぼ全ての女子にオッケーって返すから!」
だからスタートダッシュこそ失敗したけど、オレの青春計画に支障はナッスィン! ぶっちゃけ誰でも良いから付き合いたい! おっぱい触らせてもらったり、太股をスリスリさせて貰ったり、膝枕とかして貰ったり、そして何よりもエッチなことがしたい!
「そういや結局あの後に行った硬式野球部の方はどうだったんー? 女子マネいたー?」
「五人いたぜ!」
「おー。やったじゃーん」
「ドドリアさん! ドドリアさん! 二人飛ばしてドドリアさん!」
「あー、そりゃ災難だったなー。でも飛ばした二人は良かったんだろー?」
「ザーボンさん第二形態とフリーザ様第三形態!」
「アウトー」
「第一形態ならいけたけど、ストライクゾーンが広いオレでも流石にアレはちょっと厳しかったわ。ってことだから運動部は諦めて、今日は文化部を見て回ろうぜ!」
「あー、俺は軟式の方に決めたからいいわー」
「軟式におっぱいのある女子マネ入ったのかっ?」
「いやいやー、俺は最初からおっぱい目当てじゃないからさー」
「このムッツリロリコンめ!」
「えー?」
という訳で本日の部活動探索は一人で行くことに。候補の部活としては適当にやっていけそうな写真部とか文芸部とか天文部……後は可愛い子がいそうな放送部に演劇部、それとチアの子と親しくなれそうな応援部もありか。
とりあえず江口さんが駄目だった以上、可愛い女子が沢山いる部活を探すしかない。美少女に囲まれたゆる~い環境に身を投じていれば、うっかりラッキースケベでおっぱいを揉むことだってできるかもしれない! そして彼女だって作れるかもしれない!
あー、美少女だらけのハーレムな部活とか、どこかにないもんかなー。
「ねーねーユメノン。ゴールデンウィークってどこか空いてる? せっかくの連休なんだし、部活のメンバーで泊まり掛けの旅行とか行ってみない?」
「ごめんねミズキ。もうバイトとか予定入れちゃったから、泊まりはちょっと難しいかも」
むむ、息子が勃k……じゃなくて、父さん、妖気を感じます!
チアガールのパンツでも拝みに行こうと応援部のいる中庭を歩いていたところ、おもむろにそんな会話が聞こえてきたので、クロガネサーチをオンにせずにはいられない。
説明しよう……クロガネサーチとは、女性をGP(顔面ポイント)、OP(おっぱいポイント)、HP(太股ポイント)の三要素と性格によって評価するオレのセンサーだ!
『綺麗な先輩:GP95、OP80、HP80。フレンドリー。総合90点!』
『エロい先輩:GP60、OP90、HP90。アクティブ。総合81点!』
おお! 滅茶苦茶に綺麗な先輩と、滅茶苦茶にエロい先輩じゃないか! 50点以上は充分に合格圏だけど、80点オーバーに90点とか二人とも超絶にレベルが高いぞ!
「えー? せっかく温泉のある旅館とか探してたのにー」
「あ、でも皆で温泉は行ってみたいかも!」
「でしょでしょ? お風呂上がりには卓球大会とかしたら面白そうじゃない?」
温泉っ?
お風呂上がりに卓球っ?
うっかり浴衣がはだけてポロリっ?
そんな聞き捨てならないワードを耳にしたら、男としてついて行くしかないっしょ!
「日帰りじゃ駄目なの?」
「うーん、アタシ的には一泊していきたいところなんだけど……とりあえずツッキーとかユッキーにも予定聞いてみて、行けそうだったら今年は日帰り。泊まりは来年ね」
…………ここは……陶芸室?
ってことは、あの美しくエロいお姉様方は陶芸部の先輩か?
「やっほー雪ちゃん」
「……ユメ、マミ。お疲れ」
「ユッキー、今日はネックと一緒じゃないの?」
「……ヨネなら日直」
どうやら中にもう一人いるみたいだし、その人を見て判断するか。
ということで……ドアの前を通りすがりながらのクロガネサーチ、オン!
『可愛い先輩:GP85、OP75、HP75。パッシブ。総合79点!』
「失礼しゃす! ここは陶芸部ッスか?」
「そうだけど、ひょっとして見学? それとも体験?」
「見学ッス! 自分、鉄透と言いますっ! お気軽に名前で呼んでくださいッス!」
「……見学!」
小動物みたいに可愛い先輩が目をキラキラさせる……え? オレがロリコンかって?
確かにこの先輩のおっぱいはそんなに大きくないし、どっちかって言われたらまず間違いなくロリの部類だけど、こう父性を刺激させるようなタイプの女の子も守ってあげたいって感じで、お姉様タイプとはまた違った方向のストライクゾーン圏内っしょ。
「じゃあアタシ、イトセンからチョコ貰ってくるわ」
「チョコ?」
「うん。陶芸部はね、見学に来てくれた人にチョコを渡してるの」
「へー。知らなかったッス。ちなみに部員って何人いるんスか?」
「えっと…………二年生が五人で、一年生が一人だから……合計六人かな?」
「……(コクリ)」
「うん。合ってるみたい。他にも質問があったら、遠慮なく聞いてね」
「うッス!」
ヤッベ! この笑顔マジヤッベ! 惚れるって! この先輩マジで超可愛いって!
しかもパッと見た限りおっぱいも割とありそうだし、この優しさなら土下座して全力でお願いすればワンチャン揉ませてくれたり……いやいや、焦るな鉄透!
とりあえずこのチャンスを逃す訳にはいかん! 今は何か適当な話題を…………。
「…………あれ? そうなると先輩方は二年生で、三年生は誰もいないんスか?」
「……(コクリ)」
つまりここにいるお姉様方とは、丸々一年半の間を一緒に過ごせるってことか!
そうなると気になるのは残りの部員……どうかイケメン男とかがいませんように!
「おや? ひょっとして見学かい?」
む……女の気配……クロガネサーチ、オン!
『美人な先輩:GP95、OP75、HP85。クール。総合90点!』
『デコッパチ:GP40、OP50、HP50。エネミー。総合40点……』
「初めましてっ! 鉄透ッス! 今日は陶芸部の見学に来たッス!」
「来てくれてありがとう。チョコはもう渡したのかい?」
「丁度今、ミズキが取りに行ってるところ」
「流石だね」
「ミナちゃん先輩! 今日は何をするんでぃすか?」
「今日は削りだよ。昨日成形した作品をムロから持ってきて貰えるかな」
「了解でぃす!」
「よし。私も頑張らないと!」
陶芸室から出ていく綺麗な先輩と他一名。先輩って呼んでた辺りアイツが一年生だろうから、これで二年生が四人に一年生が一人……あと残り一人ってことか。
ここまで女子しかいないとなると、これは残り一人も女子確定コースっしょ!
「……………………音穏。櫻は?」
「……日直」
「そうかい」
ふっふっふ……やはり予想通り、最後の先輩の名前はサクラ先輩か。名前からして美少女っぽいし、ここまでの二年生四人のレベルを見たら期待が高まってくるぜ!
「やっほーツッキー」
「やあ。行動が早くて助かるよ」
「これくらい御安い御用よ。はいこれ……と、そういえば自己紹介がまだだったわね。アタシは
「その紹介は分かり辛くないかい?」
「大丈夫ッス! ツッキー先輩に、ユッキー先輩ッスね!」
「そうそう。それで今戻ってきたのがポニーテールの子がユメノンで、ツインテールの子が新しく入った一年生のホッシー。そう言えば、トールは何ハなの?」
「Bハッス!」
「そうなると、ボク達とは誰とも被っていないかな」
「ようやくCハとFハ以外の部員ができたわね。あ、ちなみに今ユッキーがやってるのが土練り。それでユメノンとホッシーがこれから始めるのが削り作業よ」
怪しげな機械に腰を下ろすユメノン先輩は神々しいエプロン姿! 更に前傾姿勢で座ってるあの体勢、夏とかに上から覗いたらおっぱいが見える予感がする!
ラッキースケベの環境も完備とか、何なんだここはっ? 楽園かっ? 天国かっ? TGB4……いや、サクラ先輩も含めたらTGB5かっ!?
「そうそう! ツッキーもユッキーも、ゴールデンウィークって空いてる?」
「……一応空いてる」
「内容によるかな」
「せっかくだし新入生の歓迎も兼ねて、皆で温泉とか行かない?」
「……温泉、いい」
「それはまた随分な企画だけれど、自費での旅行となると少しばかり難しくないかい?」
「そこら辺はアタシが何とかして安い旅館とか見つけてみせるから!」
「それなら詳しい話はその旅館を見つけて、各々の日程の都合が合ってからかな」
「くっ、やっぱりツッキーは強敵ね。普通ならこういう時は誰かしらが別荘とか持ってたりするもんだけど、そんなの絶対あり得ないし……」
「部活のメンバーで旅行とか、結構行ったりするんスか?」
「旅行はまだ無いけど、合宿なら行くわよ! それとハロウィンとかクリスマスにパーティーしたり、卓球とかバドミントンとかトランプで遊んだりもするんだから!」
「……ここは陶芸部」
「はいはい! ちゃーんと分かってるってば! 例え今年が無理でも来年には絶対……」
ヤッベ! 他にも回ってから決めようと思ったけど、陶芸部……神過ぎじゃねっ?
美少女揃いのハーレム! 制服エプロンを拝める環境! そしてイベントも盛り沢山!
そんでもって更に、オレは重要なことに気付いたのだ!
部屋の所々に置かれてる業務用っぽい扇風機……見た限り滅茶苦茶に風が強いんだが、あの風力ならTシャツとか着せたらおっぱいの感触も味わえるんじゃね? ……と。
「陶芸部、いいッスね!」
「でしょっ? 青春したいなら超オススメな部活よ!」
「青春かどうかは分からないけれど、こちらとしては男手がいると助かるね」
「うッス! オレ、入部するッス!」
「……入部!!」
「ふふ。良かったね雪ちゃん」
こうしてオレの青春ハーレムのページがついに幕を開け『ガラッ』……と、まさにそんなグッドタイミングで最後のヒロイン、サクラ先輩が――――。
「よう……と、見学か?」
「良いタイミングねネック。丁度また一人、入部が決まったところよ」
「…………?」
クロガネサーチ、オン!
『オトコ』
…………クロガネサーチ、オン!
『男。総合65点』
「あ、あのミズキ先輩……この人がサクラ先輩ッスか?」
「そうそう。あだ名はネックだけど、どうしたのよ?」
「いや、男子もいたんだなーって思って」
「トールも入れて、二人しかいないけどねー」
サクラ先輩、まさかの男だった説っ!
それを言うなら『二人しか』じゃなくて『二人も』でしょうが! しかもサクラ先輩はこの一年間、ハーレムを過ごしてたってことになる訳で……ナンテコッタイ!
い、いや待て! 大丈夫! この冴えない先輩が四人全員を手駒に取っているとは思えないし、鉄ハーレム計画を諦めるにはまだ早い! きっとおっぱいだって揉める筈だ!
「初めましてっ! 鉄透ッス!」
「米倉櫻だ。宜しくな」
「先輩ってサクラ感ないッスね。ワタルって感じッス!」
「そ、そうか?」
「サクラって女っぽいじゃないッスか。先輩は顔が岩手県っぽいッスから」
「顔が岩手っ?」
こうしてオレは陶器じゃなくて彼女を作るため、陶芸部に入部したのだった。
ちなみに念願だったおっぱいの感触については、例の業務用扇風機を使ってバッチリ味わうことができたのでとりあえず満足! 皆も買おうな、業務用扇風機!
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